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『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
第4章|止められた終末
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閑話Ⅲ|それぞれの夜


会議は終わった。

結論は出た。数字も決まった。

世界は、今日も「保たれる」ことになった。

それでも夜は、等しく訪れる。

***

炎を司る眷属は、灯を落とさなかった。

闇が濃くなるほど、炎は必要だと知っているからだ。

それでも、揺れる火を見つめながら、

「あと少し遅れていたら」と考えることをやめられない。

その思考に、意味はない。

だが、消すこともできなかった。

***

水の眷属は、器に満たした水面を見下ろしていた。

溢れなかった。

溢れなかったことが、なぜか胸に刺さる。

「止められた」という事実と、

「止めきれなかった」という感覚は、

同じ形をしていない。

静かな水音だけが、夜を刻んでいく。

***

風の眷属は、眠れずに外へ出た。

空は変わらず星を抱いている。

——まだ、落ちていない。

それだけで安堵し、

それだけでは足りないと理解してしまう。

守るべきものが、

もう「全て」ではなくなったことを、

風は誰よりも早く察していた。

***

土の眷属は、動かなかった。

座したまま、ただ地に手を置く。

震えは、遠くから伝わってくる。

地は嘘をつかない。

だからこそ、聞こえてしまう。

——まだ終わっていない。

***

誰も泣かなかった。

誰も叫ばなかった。

誰も、決定を覆そうとはしなかった。

それぞれが、

それぞれの夜で、

それぞれに、少しずつ崩れていった。

そして翌朝には、

また“眷属”として立ち上がる。

それが、

この世界を支える者たちの夜だった。

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