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(4)橙生・陽向・朝日が同席する意味
扉の向こうに、気配がある。
重い空気の中で、
その存在だけが、ひどく異質だった。
「……なぜ、子供たちが?」
問いは出たが、答えは分かっていた。
隠しきれなくなったのだ。
世界が、すでに“選別の段階”に入ってしまったから。
橙生は、会議室を見渡していた。
怯えてはいない。
ただ、静かに状況を受け取っている。
陽向は、誰かの袖を掴んでいる。
無意識に、離れないように。
朝日は、視線を落としたまま、
何も言わない。
――理解してしまった子供の顔だった。
「聞かせる必要は、なかったのでは?」
その意見は、正しい。
だからこそ、採用されなかった。
「もう、“知らないままでいられる世界”じゃない」
誰かがそう言った。
守る側が限界を迎えた世界では、
守られる側も、
現実を背負わされる。
それが、この世界が次の段階へ進んだ証だった。
橙生は、ひとつだけ問いを投げる。
「……次は、どうする?」
答えは、出なかった。
誰も、
“次”を引き受ける覚悟を持てていない。
それでも会議は、終わる。
決断を先送りにしたまま。
責任の置き場を、見つけられないまま。
扉が閉じる。
その音だけが、
この会議の終わりを告げていた。




