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(3)眷属たちの限界
沈黙が、会議室に沈殿していく
誰も声を荒げない
誰も感情を爆発させない
それが、限界の合図だった。
「……対応可能な眷属は?」
問われて、すぐに答えは出なかった。
各地で同時に起きた災害
空間歪曲、霊脈断裂、龍脈の逆流。
抑え込むだけで、すでに余力は削られている。
「単独で長期対応できる者はいない」
冷静な報告。
けれどその裏には、
――もう、誰も“世界を背負える状態じゃない”
という事実が透けて見えた。
「交代制は?」
「意味がありません。
引き継ぐ前に、精神か器が先に崩れます」
眷属は不死に近い存在だ。
それでも、無限ではない。
力を使い切る前に壊れるのは、
肉体ではなく、意志だった。
「……守るために存在してきた」
誰かが、ぽつりと零す。
「だが今は、
“どこまで見捨てるか”を決めている」
その言葉を、否定できる者はいなかった
正しさでは、もう動けない
理想でも、救えない
眷属たちは初めて理解する
――自分たちは、
世界の管理者であって、救世主ではない。
それが、
この会議の本当の結論だった。




