表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
32章|夜のひびき
144/190

(3)にじむ

『あかい色は、すぐに消えなかった。


視界が狭くなっていくのに、

両手だけが、遅れて残る。


指先が熱いのか、冷たいのか分からない。


触れてはいけないものに触れたような、

妙なざらつきが残る。


こすっても、落ちない。


振り払おうとした瞬間、

景色がまた揺れる。


遠くで、何かが倒れる音。


叫び声のような、

風のような、

判別できない響き。


さっきまであった温度が、消えている。


代わりに残ったのは、

胸の奥に沈む重さ。


罪悪感に似ている。


けれど、何をしたのか思い出せない。


目の前に、影が立つ。


背中。


近いのに、遠い。


手を伸ばせば触れられそうなのに、

指先は空を掻く。


あかが、にじむ。


手のひらから、

床なのか空なのか分からない灰色へ。


広がる。


けれど匂いはしない。


温度もない。


ただ色だけが、強い。



視界の端に横顔が映る。


あの人だと、分かる。


けれど表情は見えない。


口元のあかは、もうない。


最初からなかったかのように。


代わりにあるのは、


何も言わない沈黙。


責めているのか、

守っているのか、

分からない。


胸が、締めつけられる。


苦しい。


息ができない。


あかが、黒に近づいていく。


世界が、沈む。


その直前、


誰かの声がした気がした。


名前を呼ばれたような。』



でも、確信が持てないまま――


目が覚めた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ