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『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
28章|あなたの知らない熱
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(3)

(視点:由良)


「俺のせい?」

その言葉が落ちた瞬間。

理永の呼吸が、明らかに止まった。


目が大きく揺れる。

焦ったように視線を逸らし、


「もぉ、由良ってば、からかわないでよ」


少しだけ強がる声。

けれど、語尾がわずかに震えている。


――そんな顔を、させたかったわけじゃない。


いや、違う。

させたかったのかもしれない。


けれど、こんなにも真っ直ぐ返ってくるとは思っていなかった。


その言い方は、拒絶じゃない。

むしろ逆だ。

動揺している。

隠そうとしている。

でも、隠しきれていない。


頬に差した赤みが、夕暮れよりも濃い。


「からかってないよ」


気づけば、声が低くなっていた。

半歩、近づく。

理永の肩が小さく跳ねる。


「そんな顔してるのに?」


視線を逃がさせない。


理永は、ほんの一瞬だけこちらを見て――

すぐにまた逸らす。


――逃げるな。

心の奥で、ほんの一瞬だけ本音が零れる。

行くな。

離れるな。

胸が、苦しい。


その一瞬。

胸が、苦しい。


可愛いと思うより先に、

愛おしいと思ってしまった。


――まずいな。

本気で揺れているのは、俺だ。


理永の指先が、ぎゅっと鞄の紐を握る。

その小さな震えが、由良の理性を削る。


触れたい。

今すぐ、確かめたい。


けれど。

まだ、触れない。


夏の終わりの風が吹き抜ける。

涼しいはずなのに、

胸の奥だけが熱い。




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