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『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
第27章|その色は
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(7)遠くて、近い

数日前に、初めてポイントをいただいていることに気づきました。

星をつけてくださった方、本当にありがとうございます。

とても嬉しくて、物語を続ける力をもらいました。

(視点:理永)


講義も終わり、課題を片付けて帰る道。

頭の中には、由良の何気ない視線や仕草がちらつく。

女子に囲まれている由良を見たときの、もどかしさも残ったまま。


足取りは自然に歩いているつもりでも、胸の奥は少しざわつく。

手のひらが軽く汗ばんで、呼吸が少し速くなるのを感じる。


「……なんで、こんなに気になるんだろう」


自分でも答えは分かっている。

好きだから、触れたいから、近くに居てほしいから。

でも、そう思う自分を素直に表せない。


空は夕暮れの色を少しずつ濃くしていく。

冷たい風が頬をかすめるたび、理永の心は少し寂しくなる。

由良が少し遠くにいるだけで、何となく胸の奥が穴のように空いたような気分になる。


家が近づく。

ドアノブを握る手に、ほんの少しだけ力が入る。

“早く由良にまた会いたい”

心の中で、そっと呟く。


―――――――――――――――――――

(視点:由良)


帰宅途中の理永を、少し離れた位置から見つめる。

理永は歩きながらも、心の中でまだ何かに揺れているのが分かる。


手の動きや視線のわずかな迷い、呼吸のリズム。

由良はそれを見逃さない。


(ああ、やっぱり、俺のことを気にしている。)


でも、理永にはまだ気づかれない距離を保つ。


近づきすぎず、遠すぎず。

ただ見ているだけ。


時折、理永がふと空を見上げるたびに、胸の奥が温かくなる。

その表情、手の動き、歩幅――すべてが理永の心の揺れを物語っている。


由良は静かに微笑む。

まだ言葉も触れも交わさずに、理永の気配をそっと確かめるだけ。


理永の心をもっと知りたい――そう思う。



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