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(4)――隣
「理永も、吸血鬼になるか?」
静かな問い。
残酷な選択肢。
理永は、じっと由良を見る。
そして、首を横に振った。
「ならない」
はっきりと。
由良の目がわずかに揺れる。
「由良くん、迷ってますよね?」
その一言で、空気が変わる。
「守ろうとしてる。でも」
理永は一歩、近づく。
「一緒にいられるならって、少しだけ思った」
沈黙。
図星だった。
由良の指先が、強く握られる。
「私はあなたの隣にいたい」
まっすぐに。
「でも、あなたと同じになりたいわけじゃない」
静かな声。
揺れない。
「人間のままで、あなたの隣にいる」
その覚悟。
由良の呼吸が乱れる。
近い。
触れられる距離。
思わず、腕が動く。
抱き寄せそうになって――
止まる。
理永の肩に触れる寸前で、指先が止まる。
触れたら、壊れる気がした。
「……ずるいな」
かすれた声。
「お前のほうが、よっぽど強い」
理永は、小さく笑う。
「好きだからね」
夕暮れが完全に夜へ沈む。
触れないまま。
それでも、距離はもう遠くない。
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