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(2)守られ続けた世界の歪み
龍神殿は、外界から切り離されている。
正確に言えば――切り離されてきた。
災厄は届かない
天災は、調整される
死は、遠い概念のままだ
それは、善意だった
未来を担う者たちを、壊れた世界から守るための。
だが、守られるということは、
同時に「触れない」ことでもある。
世界は、ここよりずっと複雑で、不条理で
取り返しのつかない選択に満ちている。
その現実を知らないまま育つことが、
本当に「救い」なのか――
誰も、確信を持てなくなっていた。
龍神殿の均衡は、保たれている。
けれどそれは、
外で誰かが傾きを背負っているからだ。
その事実を…
子供たちは、まだ知らない。




