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『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
第3章|守られた世界の歪み
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(1)龍神殿で育つ子供たち

龍神殿は、いつも静かだった。

風は穏やかで、雨は必要な分だけ降る。

争いは起きず、欠乏もない。

ここでは、子供たちは泣かない。

泣く理由を、まだ知らないからだ。

白い回廊を駆ける足音。

水盤に映る自分の顔を、不思議そうに覗き込む視線。

与えられた言葉、与えられた答え。

それが、この場所の「正しさ」だった。

けれど最近、子供たちは立ち止まるようになった。

「どうして?」

誰かがそう口にしたのは、ほんの些細なきっかけだった。

龍の像が空を向いている理由。

祈りの言葉が、同じ順序で繰り返される理由。

答えは、すぐに与えられる。

それでも――子供たちは、納得しなくなった。

「そう決まっているから」

その言葉が、初めて空虚に響いた。

考えることを覚えた子供たちは、

同時に「選ぶ」という概念に触れ始めていた。

それは、成長だった。

そして同時に、管理されてきた均衡からの逸脱でもあった。

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