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③堕女神の工程  作者: 邑 紫貴


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9/11

天然……?


暗い顔の蒼を横目に「ね、私の料理が不服なの?」と、問うが返事はない。

生徒会室から追い出された。

ただ、ドアの向こうで……「堕……女神……」と、聞こえた。

堕女神……?秋のこと?

……ま、いいか。授業に遅れるし!

服を正し、廊下を歩いて教室に戻る。


「で、どうだった?」と、恵理夏。

「……?あぁ、何か自信がなくて落ち込んでる?」

恵理夏は、嬉しそうに微笑んだ。

何故?彼氏が落ち込んでいるのに、笑う??

「くすっ……ね、本気?」

「うん?恵理夏じゃないと立ち直れないのよ。慰めてやって。」

「くすくす……慰めに、行ってたんじゃないの?」と、奇利。

「……ん?私では、ダメだった。けど、どうして……私を連れて行ったのかな?」

綺麗な二人は、爆笑。

「朱理、来いよ……」

浩が私の手を引いて、非常口から外に出る。

秋は、手を振っていた。

……??

「はぁ……。やっぱり、面倒臭いことしてるんだな。」と、ため息。

「?」

見上げる私に、苦笑い。

で、忘れていた眼鏡をかけてくれる。

「あぁ、どうりで視界がかすむと!ありがとう、浩。」

「いや……。あいつ等、面白がってるしな~~。ふう……生徒会長に、何された?」

「……Hっぽい事。でも、貧乳の私では……役に立たなかった。落ち込んだまま、あいつ……大丈夫かな?」

私は、普通に答える。

面白いことを言ったつもりはないのに、浩まで爆笑。

「ね、何が面白いの?蒼は、真剣なんだよ?相手を間違えただけで」

嫌いだけど、真剣に生徒会長しているアイツは……

あれ?何故に、私が奴の話を……

「天然……?」

……?

あまり、人とは接してこなかったが……天然とは、初めて言われた。

「さぁ?」

「……堕女神……天然の堕女神……か。作ったのは、環境か?遺伝か……自分自身?」

浩は、蒼と同じ『堕女神』と、私を呼ぶ。

天然の……堕女神……何だ、それは??

【キ~ンコ~ン……】始業のチャイム。

「浩、私は……堕女神でも、女神でもない。私は私だよ!」



その日は、何故か……目が冴え、寝付けなかった。

深夜、物音がする。

あれ?……まさか、蒼??あいつ、いつもこの時間に入ってきてたの?

しかも、窓……屋根を伝って??

危ない奴だな~。けど、鍵はどうするんだろ……?

寝たふりで、様子を見てみるかな。

【トントン……トン……トン……】

窓を何度か、リズミカルに叩く音。

【カチャ……カラカラ……】

マジで?!

「嘘でしょ!!」

思わず飛び起き、聞いた音が本当か確かめる。

窓は開いていて、蒼がビックリした顔で窓に腰を落とした。

「……なんて、簡単に開くのよ。蒼……今後、禁止!全く、この音に起きない私もどうかと思うけど……」

「ねぇ。今の状況は、分かってる?今日あったこと、覚えてる?」

今日、結局……晩御飯には来なかった。

あぁ!!

「晩御飯なら、下にとってある。温めようか?お腹……むぐっ?」

無言で私の腕を掴み、唇を塞ぐ。

……大きい声出したから?

でも、いちいち口で塞がなくても……あれ?これ、キスだよね??

あぁ~~今更だけど、私のファーストキスは……こいつ??

これ、二回目……いや、何回目?

「ふゃ……ふぁに……??」

生暖かい……舌?……絡まる……

これは無理!

【ガブッ……】

「っ!!」

噛みついてやったわ!

「はぁ……。……んで……」

「何、聞こえな……」

「何で、平気な顔してんだよ!」

大きい声を、お前が出すな。

「平気な顔?」

少し、考えてみる。

普通、キスは……好きな人とします。でも、蒼は?

好きな人ではありません。ちなみに、綺麗な彼女がいます。

ここは、私の部屋……寝ている時間……

「あぁ!」

状況把握したものの、出て行ってとは言える雰囲気じゃない。

どうして?ここは、私の部屋なのに……。

「蒼……?」

「俺、朱理のことが好きだ。……朱理は、俺のこと好きなのか?」

…………。

え?彼女いる蒼が、私のこと……好き?貧乳の私を……?

ないないない……あぁ、いつの間にか寝ていたんだ。

「……おやすみ……蒼……」

そこから、記憶がない……



朝。いつもと同じ時間に、目覚ましが鳴る。

しかし、布団には私だけ。

当然だ……。私の部屋なんだから。

窓は閉まっていたが、鍵は開いていた。

……あれ?夢……じゃない??

台所にも、蒼はいなかった。

「蒼は?」

「生徒会、忙しいみたいよ?」

……だよね。

何だか、寂しい……ような、物足りないような??

不思議な気持ちだった。

……ま、いいか……



学校への道。静かな時間……。

蒼と出逢うまでは、この繰り返しだった。

蒼は、何かを話すわけではないから……同じような静かな時間。

いるのといないのって、違うんだな~~。

ふと、空を見る。

青い空で、いい天気。

……視界が覆われ……耳元で囁かれる。

「だぁ~れだ?……ふぅ~~」

息が耳にかかる。

【ゾク~ッ】

「恵理夏……」

「当ったりぃ~~」

「…………。」

つい、何を思ったか……恵理夏の胸に両手を当てた。

「……大きい。」

「ふふっ。朱理ったら、大胆ねぇ。いいわよ?どこでスル?」

「何を??」

「くすくす……教えてあげるから、いらっしゃい。」

差し伸べられた手を、取ろうとした。

「だぁ~~!!恵理夏、毒牙にかけるのは止めなさい!!」と、浩に止められる。

毒牙??

「牙が、あるの??」

「ね?私より、女神でしょ?」

「あぁ。恵理夏は、近寄ってはいけません!!てか、二人とも……恵理夏に近づいてはいけません。」

私は秋の横に並べられ……怒られている?

恵理夏は、綺麗で……胸も……大きい。

出来たら、自分にないものを……知りたい……教えて欲しい。

そうか、だから……秋は彼女と友達になったのか。

そして、私を誘った……




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