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③堕女神の工程  作者: 邑 紫貴


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10/11

不器用で……


「「生徒会長……」」「蒼……」「「「のこと、好きなの?」」」

3人の声が重なる。

……?

「嫌い。」

私の言葉に、それぞれがため息。

この答えではない?

「好きじゃない。」と、言ってみるが……反応は同じ。

浩は、苦笑いで訊く。

「どうして、嫌いで……好きじゃないの?」

どうしてか?

「私の胸、貧乳って言うから?」

うぅ~~ん?

ちょっと違う気がするけど……一番近いかな??

「……貧乳は、いいと思うけど?」

ボソッと、小さい浩の声。

恵理夏が聞き逃さなかった。

「え?何、何て言ったの?聴いたぁ~~?秋、お前の胸は良くないってさ!」と、秋の胸を両手で包む。

「くすぐったぁい……やぁ~~」

浩は恵理夏の頭を軽くはたいて「それは俺の!こほっ……秋のは、これでいいの!」

「やぁら~~しい~~」

ヤラシイ?貧乳が??何で!?

理解できない私に、恵理夏が囁いた。

「蒼に教えてもらいなさい。くすくすくす……優しく、分かりやすく教えてくれるわよ?」

……そっか、教えてくれるのか。

浩は、私から視線を逸らし……何かを、言おうとして止めた。

??

変な浩……。

「いい?貧乳の良さは何?分かるように、丁寧にお・し・え・て!……って言うのよ?」

「……恵理夏、そうやって……秋に吹き込んでいたのか?!この、悪魔!!」

……悪魔?訊き方まで教えてくれて、優しい……のに??

「くすくすくす……生徒会室に、盗撮機しかけなきゃ。くくっ……奇利なら、協力してくれるかしら。ふふふ……」

楽しそうな、恵理夏と……浩の叫び声。

こんな毎日も悪くはない。

「秋、ありがとう……」



朝、食べてないだろうと……母からお弁当を預かった。

生徒会室をノックする。【コンコン……】

……返事はない。

ドアノブを回すと開いていた。

「……蒼……?」

そっと、中をのぞいて見る。

大きい机には、たくさんの書類と寝ている蒼……。

毎日、あんな時間に忍び込んでたら……寝不足になるわよね~?バカだ。

近づいて、お弁当を机に置く。

綺麗な顔……。男の人……か。

さらさらの柔らかい髪……どんな手入れしてるのか、つるつるの肌。

何だか、憎い……。

「……ん……」

【ビクッ】

起きたのかと、何故か焦る。

……逃げなきゃ……でも、どうして?

ここには、いられない……。どうして?

怖い……何が?

「……朱理……」

「……え……?」

【ドキ……ン……】心音がうるさい。

呼ばれただけ……そう、いつものように名前を呼ばれた。

ただ、それだけなのに……。

何故、こんなにドキドキしてるの?

……あぁ、きっと病気だ!!

保健室、いや……病院に!!

「……朱理?……な……何をしに来たんですか?」

ムカッ……まただ。

学校の、クールな他所の顔……。

「嫌い!嫌い!!大ッ嫌いっ!!」

涙が、出そうだ。悔しい……

「朱理!!」

逃げようとする私を、後ろから抱きしめ……囁く。

「好き……俺は、朱理が好きなんだ……。恵理夏と付き合えば、嫉妬してくれるかと……思ったのに。俺が一緒に寝ていても、意識してくれない……。どうしたらいい?どうしたら俺のこと、好きになってくれる?」

首元に、蒼の唇が触れる。

「……や……くすぐったい……っ……」

手が、小さい胸に触れた。

【ビクッ!!】

「やっ!!……ふ……ぅ……ううっ……」

恵理夏の嘘つき……小さい胸に、いい事なんかない。

「ごめん……」

手と、体が私から離れ……温かい体温が逃げていく。

「……好きになる……だから、教えて欲しいの」

「……何を教えたらいい……?」

優しい声……心地いい……瞳に、私が映る……。

好きかも……

「ね、恵理夏が言ってたの……」

「うん……?」

「貧乳に良さがあるって……」

「……え、……うん?」

「……何?どこがいい?私にも、分かるようにお・し・え・て?……ね、丁寧に……だよ?」

【ブッ……】

蒼が、顔を真っ赤に……

「鼻血?!大丈夫、蒼……疲れてるの?どうしよう……えと、ティッシュ!」

「……堕、堕女神……降臨……」

……?何故、今それ??






くすくすくす……結局、女の子を堕女神にするのは……誰なのかしら。

男の子?その女神自身?友達?……環境かしら?

ふふっ……それとも、私みたいな悪魔……かしら?

人間界は楽しいわねぇ……。ね、そう思わない?

くすくすくす……いけないわ。楽しすぎて、魂もらうの忘れてる。

ま、いいか……女神が、堕女神になるのを見るのも……楽しいから……



END

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