71 巡礼…… なんだ、それ……
いつものようにルリイアのマンションでミーティング。
始まるや否や、守衛ライトウェイから着信があった。
すみません。お休みのところ。
今、ちょっとお時間、いいでしょうか。
先生、イオのこと、警察に相談してくださったんですね。
ありがとうございます。
と、言い出した。
「刑事が来ましてね。いろいろ話を聞いてくれたんですよ。さすが先生、持ち込まれるところが違うんですね、きっと」
「いえ、そんな大した知り合いはいませんよ」
「ご謙遜を。私らが言うのと、全然、扱いが違いますな」
もうミーティングが始まっている。
電話を切ろうとしたが、まだライトウェイは話したいことがあるようだ。
「それで、刑事が何でも話せというものですから、同じことを先生にも、と思いまして」
「はい」
と言うしかない。
「有休を取ったりしてたんですよ。以前はそんなこと、しなかったのに」
「はい……」
「お稽古事でも始めたのかって聞きましたら、巡礼だって言うんですよ」
「それって」
「いや、ようわかりません。でも、んっと、先生だから言いますけど、どうも、好きな人ができたみたいな感じもあって……」
「……」
「能勢の地酒、秋鹿を土産にもらいましてね。土産とか、そういうの、今までする子じゃなかったですし」
「お酒、ですか……」
「そうなんですよ。夏前ごろだったかな」
「で、それから、見かけてない……」
「記憶はあいまいですけど、学校が夏休みになったんで、それきり会ってないし、声を聞いてないと思うんです」
本当にご心配ですね。
としか言いようがないが、胸の中に吐き気を催すものが沈んできた。
巡礼……。
なんだ、それ……。
オカルト? スピリチュアル?
それを、あのイオさんが……?
それとも、大いに観光的なもの? それならいいのだが。
ジンが議題を進行している。
今日は在学生だけでなく、旧メンバーも勢揃いしている。
ガリもいるし、前部長フウカやハルニナやメイメイが顔を出し、ルリイアさえ冒頭から参加してくれている。
不参加はランのみ。
ガリとフウカは隅に座って静かにしている。
ガリは細い目を順にメンバーに向け、フウカは黙ったまま目を伏せている。
きっと、ジンとアイボリーが手分けして、誘いまくったのだろう。
とても大変なことを話し合うので、ぜひ参加して、助けてほしい、と。




