71 たこ焼き居酒屋案件、ってことに
「私、抜けてもいいかな」
言い出したのはハルニナ。
気乗りがしないということじゃない。けど、応援だけにとどめとく。
いいでしょ?
ごめんね。
「私もハルニナと同じかな」
メイメイとルリイアだ。
ちょっと忙しすぎて。
みんなに気を使わせるだけになるのも申し訳ないし。
結局、学生たちの内、在学生は全員参加。
フウカとスペーシアは参加で、ルリイアは側面援助、ハルニナ、メイメイは応援のみ。
ランは、きっと無理だよね、となった。
「みんな、ありがとう。じゃ、そんなプロジェクトを立ち上げようと思う」
先週、ボクは、サークルの活動のサブの柱、って言った。
これ、撤回します。
ミリッサに指摘されて気がついた。力みすぎてた。
去年みたいなサークルの公式な活動にはしない。
去年はサークルの先輩が、ってことだったけど、今回は無関係の人。
公式プロジェクトには似合わない。
あくまで、有志の集まり、ってことでいこうと思う。
「ミリッサ、どうかな」
ボクたちがそういうことで、集まって情報交換したり考えたり、していいかな。
許可してくれるかな。
「それで、その場、なんだけど、学校での部活では基本、取り上げない。でも、このミーティング後、そのまま有志の集まりをする、ってことはどうかな。集まれる場所、ここしかないので」
在校生全員の視線が向いている。
「ガリさん。僕から話してもいいかな」
「もちろんですよ」
まずさ、ジン。
場所だけど、それはルリイアに聞くべきことだろ。
「あ、ほんとですね! ルリイア先輩! 失礼しました! つい!」
「私はさっき、側面援助するって言ったわよ」
これで一つ解決。
「ジン。これ、誰がリーダーをするんだ? ジンか、それともブルータグか?」
「あ、すみません。はっきりさせてませんでした。ボクがするつもりだったけど、ブルータグでもいいわけか」
「いやいやいや、ウチはとても。ジン、先輩にお願いしていいですか」
これで二つ解決。
「それから、期限を決めよう。前も、フウカが言っただろ。ここまでって。それでスパッと切り上げるって」
「はい! そうだった。じゃ、ボクらもフウカ、あ、もう先輩って言っていいんですよね、がしたように、この秋の京都競馬開催日程の間、にします!」
フム。
ちょっと長丁場すぎはしないだろうか。
しかし、ま、これで三つ解決。
「いつでも抜けられる、これはジンも含めて、いつでもやめられる、これを宣言してくれ」
「なるほど。わかりました。当然です! そうします!」
「取り組みの名前。プロジェクト名、作戦名みたいなもの、決めなさい。その名の元に一丸となる、そんな名を」
「ですね! さすがミリッサが言ってくれると、スカスカッって、前に進む」
「いいから」
「……、……、じゃ……、あっさり、たこ焼き居酒屋案件、ってことにします」
「よし」
では、意見を言おう。
ガリの顔を見た。
特に変化はなく、やや微笑んだ顔。
「じゃ、俺の意見と、関連情報を言うよ」
皆がそうやって、サークルの仲間の悩みに真剣に向き合ってくれて、とてもうれしい。
特にジン。
リーダーとして引っ張ってくれて、ありがとう。
それにフウカとスペーシア、あんなことがあったのに、またこうして参加してくれて感謝してる。
フウカもスペーシアも、黙ったまま俯いて、小さく頷いた。
きっと、出番はそうないだろう。
もしかすると、全くないかもしれない。
それでも、このたこ焼き居酒屋案件メンバーとして名を連ねることを選んでくれた。
うれしかった。
「もちろん、俺も、一メンバーとして参加させてくれ」
「うわお! 百人力だ!」
「でも、あくまでリーダーはジン、僕はその配下。いいな?」
「おう。配下でも部下でも臣下でも、いいってことよ!」
アイボリーがジンの太ももをつねってくれた。
「で、ジンが今後の活動方針や役割分担をいずれ決めると思うけど、その前に、話しておきたいことがある。関連事項として、頭の隅に入れておいてくれ」




