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51 競馬サークルらしいチョイス

「昨日さ、ミリッサに奥琵琶湖に連れて行ってもらったんだ」


 やっぱり。

 これは誘うのか。

 うら若きやんちゃな女子大生をゾロゾロ連れて歩きたくはないのだが。

 のんびり気ままに、好きなルートで好きなペースで、好きなところで景色を眺め、好きなところで休憩し、歩いて琵琶湖一周、楽しみたいのに。



 が、違った。


「それで、思い出したんだ。いつも、競馬シーズン前に合宿やってたこと」


 うっかりしてた。ごめん。

 遅まきながら、やりたいと思って。合宿。

 ていっても、軽いハイキングとか、どうかなー。

 競馬シーズン始まってしまったし、急な話だから一泊はむつかしいだろうし。


 で、みんなの授業調べてみた。金曜日の。

 ラッキーにも、二年生は必須科目ないよね。

 ボクとアイボリーは授業あるけど、キャンセルしたい気分の授業だし。

 今週の金曜日とか、どう?

 急だけど。

 バイトとか、ある?

 ミリッサは仕事の打ち合わせとか、あると思うけど、もし、都合がつけば。

 ガリさん、すみません。平日にしちゃって。



 行く場所も候補、調べてきた。

 栗東トレセンの近くの洞窟。

 鍾乳洞。ちっちゃいけど、涼しいと思うんだ。

 狐掛風穴こかふうけつ、てところ。

 山を登らないといけないから、全然、観光地化されてないみたいだし、有名でもないし。

 帰りに、栗東トレーニングセンター、外からでもいいからチラッと見て。

 競馬サークルらしい、いいチョイスだろ?

 どうかな?


 とんとん拍子に話はまとまり、この金曜日、合宿代わりのハイキングの実施が決まった。

 行先は栗東の双頭山に登り、登山路途中にある狐掛風穴にも寄る。

 ということになった。

 ガリを除き、全員参加。


「クマよけの鈴。持って来いよ」

「そんな怖いとこ?」

「今は住宅街でもクマが出てくる時代。用心用心」

「それから、懐中電灯ね。ベストは頭につける、あれ、なんていうの?」

「ヘッドライト、だろ」

「そうなん? そのままなんだ」



 帰りの京阪電車。

 ガリに声をかけられた。

 今週水曜日、開講されますでしょ。

 早めに来ていただけません?

 お昼をご一緒、だめかしら。


 やれやれ。

 これはお叱りの一言でもいただけるというわけだ。

 サークル顧問として、こんなことでいいとお考えなのかしら、と。

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