50 部長としての態度表明
「それで、ボクはこういうことをしたいと思う」
今日、ボクら部員、全員いる。
それぞれで、まず、自分に何ができるのか、何かできることはあるのかないのか、を考えてみたいんだ。
いやだっていうなら、全然構わない。
見ず知らずの人の自殺の理由、なんて興味湧かないし、それにとっかかりもない。正直、無理、ってもんだし。
でも、もし、もし、考えてくれるなら、そして賛同してくれるなら、それをサークルの活動のサブの柱にしたいと思う。
ブルータグが顔を真っ赤にしていた。
ちょ、ちょ、と言ったきり、後の言葉が出てこないのか、ピンクタグと顔を見合わせたりしている。
「ブルー、ということなんだけど」
「あの、ウチ、そ、そんな大げさなことは……」
「だめだよ。ボクはもうそう決めたからね。あ、いや、みんなの賛同はまだ得てないけど」
「でもでも、」
「いいじゃん。じゃ、来週、このミーティングで、みんなに聞く。くれぐれも言っとくけど、強制じゃないし、ある意味、ボクの自己満足かもしれない。付き合いきれない、って思ったら、その時、正直にそう言って。でも、一週間だけ、考えてみて」
頷く者はいない。
「あ、ミリッサやガリさんには、もし、その方向になったら、改めてご協力をお願いさせていただきます」
なんとも大上段な話になったものだ。
昨年のあの一連の出来事がジンの心にいかに大きなものを残したか、ともいえる。
それにしても、サークル活動の柱の一つ、とまで言うとは。
ヴォルガから得た新たな情報、つまり死んだ居酒屋店主が人殺しに関係しているかもしれないという情報。
ここで言うつもりはない。
言った後の反応は予測不能。
ブルータグやピンクタグの反応、ジンの反応、それ以外の人の反応。
それぞれ違ったものになるだろう。
ガリもそう。
部長としてのジンの態度表明、そして話の持って行き方をぶち壊しにしたくない。
「でさ、もうちょっと時間いい?」
ジンが、神妙な顔のメンバーに語り掛けた。




