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46 いつまでチマチマやってんだ

 従来はパクチー汁を飲ませる人を無作為に抽出していたが、重点を絞ることにしたという。


「カニの中心人物を集中的に捕らえ、説得するようにしました。聞き入れなければもちろん、強引に飲ませます」


 効果はてきめん。

 カニの組織は一気に弱体化した。


「でも、危惧した通り、向こうは余計に躍起になって人殺しをするようになった。警察がいつ、コアの存在に気づいてもおかしくないくらいに」

「ふうむ」

「で、ですね、ここで意見の違いがはっきりしてきて」



 元々、大人なメイメイ。

 話はうまい。

 端的でメリハリの利いた進行。

 掴みも心得ている。

 前段階の話が終わって、いつものように話し出す。


「先生。という状況なんです。で、相談に乗ってください」

「断る。関わりたくない。俺はもうPHじゃない。本来、違うけどな」

「そう言うと思った。でも、意を決して来た私の身にもなってほしいな」


 メイメイは口を尖らせてから、鉄火巻きをポンと放り込んだ。

 あれ、これ、ワサビきいてない。深夜スーパーの安物だからかな。


「ハルニナの意見はこう」

 と、述べ立てる。

「ヘッジホッグの意見はこう」

 と、並べ立てる。

「でも、私の意見は」

 と、説明してくれる。


「ミリッサなら、どの考えに近い?」


 大した違いはない。

 やることは同じ。

 手を緩めるか現状維持か戦力拡大か、の違いだ。



「そうだな。第三者の意見としては」

「意見としては?」

「ちょっと待て。このカツオの炙り焼き、まさに寿司屋の味。これは掘り出しもんかも」

 と、味わいながら、考えをまとめた。

「いっぺん、ちゃんとした寿司屋。皆で行こうか。特大的中の日にでも」

「それいいね! き・た・い! それで、意見は?」


「さっさと終結に迎え。いつまでチマチマやってんだ、ってことかな」

「その心は?」

「なかなかハルニナやメイメイに会えん」

「ハハハハハ! なんて自分中心の考え。ほんと? それ」

「本気も本気。俺だけじゃないさ。PHも家族いるんだろ。同じように思ってるさ。それに」


 お、見ろ。

 茶柱二本立ってる。

 一杯目は一本で、二杯目は二本。

 こいつは幸運の前触れかも。


「終結しないことには、殺される人は増える一方。もう、三十九人。あり得んだろ。この法治国家日本でそんな事件数。しかもそれ、全部未解決事案だろ」

「全部じゃないけど、ほぼ未解決。ていうか、事件化されてない。コアUD内に遺体、保管してあるから。警察での扱いは行方不明者」

「いずれにしろ、さっさと片をつけるべし、ということ」

「ということは、私の意見に近いってことね」

「そうは言ってないぞ」

「わかってるって。ミリッサを味方につけたってハルニナに思われないようにするから」

「具体的にどうするか、案はあるのか?」

「もちろん。簡単なこと。勧誘人、誘拐者、情報提供者、それぞれ一桁増する」

「一気呵成か」

「その通り。計算上、そのペースで行けば、二か月持たずカニの組織は瓦解するか、クーデターが起きる」


 メイメイが、チラチラ、キッチンを見た。


 ん?


「ケーキ」

「あん?」

「さっき、見つけた。お茶、沸かした時。買っておいてくれたんでしょ」

「あ、あれか」


 昨日、商店街の福引で当てたやつ。

 特等が温泉旅行で、一等があのケーキ。

 そろそろ食べねば、と思っていたやつ。


「おう。持ってこい。ナイフと皿もな」

「じゃ、コーヒー淹れるからちょっと待ってて。それとも紅茶がいい?」

「なんでも知ってるんだな。一体、俺がいない間、何日いたんだ? 紅茶で頼む」

「はーい」

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