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42 ヴォルガからの第一報

 その夜、いくつかのニュースがもたらされた。


 一つはヴォルガから。

 警察捜査状況。


「第一報よ」


 上町ペンタゴンで自殺した人は、通称クワッチーサビラ。

 大阪の福島で居酒屋を経営している。

 現在、店は休業中。

 沖縄出身。未婚。

 そこまではいい?


 まず、アルバイト店員二人に聞いた。

 紅焔女子学院大学の三年生。

 もしかしてミリッサ君が知ってる学生かも。


 あ、やっぱりそうなのね。


 で、経営はかなり以前から破綻状態。

 融資を返せなくて、あちこちに支援要請してたみたい。


 沖縄の両親に話を聞こうとした。

 というより、亡くなったことを伝えないとね。

 ところが、他界されていた。

 兄弟なし。親戚ともほとんど付き合いなし。

 警察としては、困るのよね。

 親族を辿っていかなくちゃいけないから。

 ごめんなさい。言い方がちょっと不謹慎だったわね。


 で、ここからが重要。


 まだ確かなことは言えないんだけど、どうも、事件に関係してるようなのよ。

 殺人未遂事件。

 今、かなり以前からの彼の行動経路を洗っているところ。

 その経路上に、きっかけとなる事象があったのか、なかったのか。


 あ、なぜ、関係してると考えたのかは、今は勘弁して。

 日本の警察は優秀、とだけ思ってて。


 学食のおばさんの件は、まだ報告できることはなし。

 つまり、居場所は掴めてない。



 取り急ぎの連絡は以上よ。


 ヨウドウ君はあんまり関係ないみたいだから、できたら、言わないでくれるとうれしいかな。



 とのことだった。


 えらいことになってきた。

 殺人未遂事件とな!


 ヴォルガは容疑者という言葉は使わなかったが、これはもう、首を突っ込むようなことではないかもしれない。


 待てよ。


 警察は、どういう意味で、ブルータグとピンクタグに、話を聞いたのだろう。

 まさかとは思うが、クワッチーサビラが殺人の容疑者という前提で話をしたわけではあるまいな。

 ブルー・ピンク姉妹の心に傷をつけたのではあるまいな。

 それに、常連客の端くれである俺にも、刑事が訪ねてくるかもしれない。




 陰鬱な話は続くもの。

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