319 十分、頂いてますです
後ろからドドッと押された。
「痛て!」
「わっ、先生、ごめん。ここ、もう、むりぃ。人、多すぎぃ」
「でも、お賽銭上げるまで、我慢我慢。辛抱するのよ」
「むりぃー、むりぃー」
「そうよねー」
「キャ、やだー、足踏まれた」
「ね、代表でお賽銭、あげてくるのは?」
「じゃ、じゃんけん」
「よし!」
「そんなん、あり?」
「せっかく、ここまで、ミリミリ進んできたんだから」
「でも、こんなにかわいい大和撫子、押されても靴踏まれても、だれも守ってくれないし」
「そか! いっそのこと、こっから投げちゃう? みんな、当然、十円でしょ」
「私、百円」
「てか、もうお賽銭上げなくてもいいんじゃない? 十分お参りしたことにしよ。神馬も撫でたし」
「そうと決まれば、この馬混みから抜け出すのだー」
「待って! そんなことしたら、はぐれちゃう!」
「そういえば」
と、ハルニナが腕を絡ませてきた。
「去年はみんなで腕組んだよね」
反対側の腕をメイメイが。
「わっ、ズル」
「だって、去年はラン。だから今年はわ・た・し」
メイメイの腕をランが、ランの腕をジンが、ジンの腕をアイボリーが、と順に連なっている。
ミカンの腕をンラナーラが、ンラナーラの腕をスズカが。
数珠繋ぎ。
周りへの迷惑、なんて気にしない気にしない。
ごめんなさい~。通りまーす。
「ねえ、ミリッサ。あの玉転がし迷路ゲーム。当然、黄色い玉ばかり、入れてるんでしょね」
「あ、知ってたのか?」
「自慢タラタラ。メイメイに」
「そうそう。でもさ、メイメイがクリスマスプレゼント贈ったのに、そのあとで贈るんて、なんかなあ、やん」と、ラン。
「そう。だから私とランは、気持ちだけ贈るわ! ミリッサが教えてくれたゆっくり瞬き付きのハグで」
「キスも!」
「それ? ここで? でもラン、それで逃げ切れると思ったら甘いよ。私もメイメイも追い込んでいくわよ」
「わ、ここでハルニナ、宣言する?」
「宣言? それは、ミリッサが。ね!」
はい。
もう十分、お気持ち、頂いてますです。
てか、あー、だからもう、どうでもいいから。
引っ張るなー。
おしまい
最後までお読みくださり、ありがとうございました!




