312 私、少し変われたら
妖怪軍団の最前線。
妖怪さんたちは、頑として、私をその内側に入れようとしませんでした。
当然です。
そんなこと、彼らにとっては職務放棄。
でも、三毛猫さんが現れて。
自分の命に代えても、この人を連れ戻る。
お館様のお仕置がどんなものであっても、私はこの人の希望を叶えたい、って。
強引に。
妖怪軍の警戒線は何重にも競馬場を取り囲んでました。
そのたびに、三毛猫さん、啖呵を切って。
もう、本当に……。
なんて言ったらいいか……。
「もう、もう、いいラヨ」
最後の包囲網。
競馬場はもう目と鼻の先。
三毛猫さんがいくら言っても通してくれません。
三毛猫さんより何倍も大きな、恐ろしい妖怪さんがぎっしり、列をなして並んでました。
三毛猫さん、とうとう、自分の太ももにナイフを突き刺して。
これが私の覚悟だ! 通せ!
って。
「だから、到着、遅くなったラ」
ラナちゃん、本当に本当にありがとう。
私のために。
それから、これはみんなに謝りたいです。
私、偉そうにしてた。
みんなの意見にいちゃもんつけたり、知らん顔してたり。
自分では、何も意見出さないのに。
発想力も勇気も、責任取るつもりも、根性もないのに。
何が何でも頑張るってつもりもないのに。
ラナちゃんがあの時、私を乗せてくれなかったら、そんなことにも気づけなかったと思う。
ラナちゃんの優しさや勇気に助けられてなかったら、妖怪さんたちを恨むだけ恨んで。
なんでも人のせいにする自分から抜け出せなかったと思う。
もう、大丈夫、なんて言いません。
でも、私、こうならなきゃ、ということはわかった気がします。
ラナちゃん、みんな、これまでのこと、謝ります。
本当に、ごめんなさい。
私、少し変われたら、許してくれますか。




