302 あーん もう、分かんなくなってきたー
一応、念を押しておくことにした。
「決定的だろ。でも、確定じゃない。リストにはこれ以外にも、誰かの名がある。ささやき担当は、手あたり次第だったんだ。だれでもよかったんだ。殺される人も殺す人も」
「でも、キリコにはアサツリって」
「根本道場内では、名乗るのがルールだからな。アサツリは、律儀にはっきり名乗ったんだろう」
「そうかあ。誰でもよかった、のか。お告げを聞いたからって、全員が巡礼に行くわけじゃないし、ましてや殺人なんか」
「たまたま? 人を殺してでも、自分の願いを叶えたい人がこれだけ集中したってのは」
「それにしても、九月二日、って固まってない?」
「意味あるのかな」
「さあ」
「あ、そうか。それって、もし、死体が発見されて、死亡日が確定した時、一人の人間の犯行じゃないっていう」
「そか。犯人の目くらまし作戦」
「でも、それ意味ないんじゃない? そもそも、それぞれ単独犯なんだし」
「もしかして、ささやきのお告げは、そこで出会ったやつを全員殺せ、って」
「話、ずれてない?」
「あーん。もう、分かんなくなってきたー」
痺れを切らしたジン。
「ね、奈良の死体って? 分かってたら、そろそろ教えくれる?」
猿妖怪は黙っている。
「ショウジョウ殿には、もし見つけても、そのままにしておいてくれるよう、頼んでたからね」
「あ、そか。それはそうだよね。引き摺り出したら、後で警察が困るもんね」
「ね、埋まってた? それとも」
「崖から少し外れた草むらの中、土中に埋まっておりまする」
「でも、そこだけ、事件二個、なんか、意味ある?」
「さあ、単に、二巡目、ということじゃない?」
「かも、だけど……。それに、そこだけ、埋まってる?」
「うーん」
「こっちはどう? 上町ペンタゴンだけ、事件、ないよね?」
「それは、都会すぎる。この理由に尽きるんじゃない?」
「そうよね。ほかのところは全部、山の中。人目のないところ」
思い出したようにジンが言った。
「コールミーの名前がない」
「あ、そうか……」
「そりゃ、ささやき担当、だから?」
「うーん」




