296 できるだけ正確に再現して
「はい。ミカン」
「キリコの言ったこと、これ事実だって考えるのがいいと思う。競馬場に閉じ込められてた時、あの人、怒り狂ってた。落ち込みまくってた。もちろん、娘さんのことで。今さら、人を殺したなんて嘘をつくとは思えない」
アイボリーが相槌を打つ。
「彼女が言ったこと、ミリッサ先生、できるだけ正確に再現してくれませんか」
「こうだったと思う」
そこで、お告げを聞いた。
巡礼に向かえ。
そして能勢の滝で、アサツリという男を殺せ。
しからば、運が向いてくるだろう。
「ふうむ。能勢の滝、能勢に滝はいっぱいあるだろうけど、具体的な地名は言わなかった。その時、具体的地名は言わなくても、伝わった、ということなのかな」
五芒星巡礼のチラシやマップ。
時期は微妙だが、まだ、配布されていた、と考えていいのでは?
「で、アサツリという男を殺せ。具体的な名前を挙げた。ここ、ポイントじゃない? それから、ささやき担当は、アサツリとキリコがそこで鉢合わせすることを知っていた。もくろんだと言ってもいいかも」
なるほどなー、という声が上がる。
アイボリーが議論をリードしていく。
「下着屋の店長さんの話では、キリコは火曜日の深夜に巡礼に行ってた。つまり」
巡礼って、毎週火曜日固定で深夜が推奨。
で、能勢はペンタゴンから二か所目よね。
ということは、犯行日より前の前の火曜日から翌月曜日にキリコはそのささやきを聞いたんじゃない?
アサツリも同じ。
だから、あそこでばったり出会うことになる。
ま、会うかどうかは可能性だけどね。
「ということは、犯行日がはっきりして、かつ、いつ根本道場に入ったかが分かれば、今の話、確度がぐっと上がるということね」
「だね」
「でも、ささやき担当が誰かってことには、すぐに繋がるわけじゃない」
「そうよね。そこはまだ」
「ささやき担当か……。それって、誰でもなりえる?」
「さあ」




