294 ささやき担当
「ささやき担当候補、念のため並べるよ。リストはこれだけ」
殺されてる人。
アサツリ、サリ、レイミ。
生きてる人。
キリコ、コールミー、ピックパット、チサ、チサを襲った男、そしてペンタゴン関係者、つまりココミク先輩、そしてクワッチーサビラ。
「あっ」
と、ブルータグとピンクタグが声を上げた。
「ありえない?」
「いいえ。ココミク先輩、全然思ってなかったから」
「犯人かどうかわからないよ。でも、今はまだ消せないじゃん。それとクワッチーサビラさん、殺人事件が起きた時には、生きていた」
「でも、でもですね」
「じゃ、消す?」
「……」
「消せないよね」
ジンがフルスピードで走り始めた。
「でも、名前がリストにない人のことは考えない。っていうか、考えたくない。そこまで広げちゃうと、もう今日中に終わらない。ま、そういう結論でもいいんだけど、それって、なんだかなあ、ってことになるし。いい?」
「うん。ジンに賛成」
と、アイボリーのサブエンジン。
唯一、ジンにも誰にも話していないことがある。
スズカはキリコを母と呼んだ。
だがこれは、スズカ自身の口から話されるべきこと。
スズカから、あの夜、どうして競馬場に来たのか、結局、聞かされていない。
あいだみちで、母のことで迷惑をかけたと謝られたが、それ以降、会う機会は何度もあったものの、スズカは口を閉ざしたまま。
今、スズカの母親がアサツリ殺害の犯人という前提で話は進んでいる。
それでも、スズカはこの場に参加している。だが、参加しつつも、事件に関したことは何もしゃべらない。
ジンはじめ学生たちも、スズカの突然の無口に気づいているだろうが、どうしたのかと、聞いたりはしない。
やはり、女の子は難しい。
仲が良いようで、そうでなかったり。
気がかりだが、自分から話してくれるのを待つしかない。




