290 実は、お詫びが
すでに敷かれてあった特大の羽毛布団に潜り込もうとしたとき、戸の外から声がかかった。
狐殿が外に控えてくださっている。
いつものこと。
お客様がお見えです。
客?
ショウジョウ殿でございまする。
どうぞ。
猿妖怪が何の用だろう。
ショウジョウが入ってきた。
いつもと変わらぬちと尊大な態度。
「ミリッサ殿」
と、畳に両手をつく。
ん?
様子が違うな。
人間界の使者として、立ててくれているのか?
「夜分、お休み前に申し訳ない」
「いいえ。まだ寝ようとはしてませんから」
「かたじけない」
「で?」
ショウジョウの話に、少々面食らった。
お役に立てるのではないか、などと言う。
「それがし、ご承知のように妖サイバー隊を率いており申す」
なにか、役を言いつけろという。
さてはラン、こいつを差し向けたな。
事件解明のために、使えと。
「それはそれは、百人力」
と、一応は持ち上げておこう。
しかし、思いつくことは今はない。
ん……。
ないか?
「五芒星と申すのか、そこで起きた事件。我らが調べでは、警察はいずれも犯人を特定した、とは伺っており申す。じゃが、その背景について、ミリッサ殿、お悩みではないか」
猿に言われるまでもなく、しっくりこないことは事実。
「実は、お詫びがござる。ワレの配下が栗東の風穴で、ミリッサ殿に姿を見られ申した。それが、ミリッサ殿に犯人は小男だという誤った考えを持たせてしまっているのではないかと、ミャー・ラン殿にきつく叱られましてな。まことに申し訳ござらぬ」
なるほど、それなら、調べてもらおうか。
妖サイバー隊にかかっては、調べられられないことなどない。
「では、お願いできるか」
ショウジョウに三つのことを依頼した。
いずれも簡単なこと。警察やココミクに聞いてもいいが、こちらの方が早い。
夜が明けるまでに判明するかもしれない。
奈良古社で襲われた女性名と日付。
ペンタゴン根本道場入場者リストの入手。
京北事件の容疑者ピックパットの詳しい供述内容。
ショウジョウは、物足りなさそうな顔をした。
それなら、もう二つほど頼もうか。
もっと妖怪サイバー隊らしい、難易度高めの調査を。




