288 女の気持ち、見せてあげる
コールミーを見た。
一瞬、戸惑いを見せたが、すぐ真顔になる。
嫌、ということでもないようだ。
どうぞ。
シュウが入ってくると同時にコールミーが立ち上がった。
二人は向かい合って立った。
互いに固い顔をして。
「シュウ。お久しぶり。今、先生にこれまでのことを聞いていただいてたんだ」
コールミーは、少しだけ笑みを作って切り出した。
「話しながら思ったよ。つくづく、僕はバカな妄想を抱いていたんだって」
シュウは、ピタリとコールミーに目を当てている。
「君には辛い思いや嫌な思いをさせてしまった。謝らせてくれ。本当にごめん。もう君を忘れるようにするから、許してほしい」
そう言って、コールミーは体を折り曲げ、頭を下げた。
その姿勢のまま、これまで二年もの間、夢を見させてくれて、ありがとう、と言った。
「君の幸せを願ってる」
シュウが、手を差し出した。
頭を下げたままのコールミーの頬に添えると、体を起こさせた。
そして、
「女の気持ち、見せてあげる」
と、コールミーの唇に自分の唇を押し当てた。
「愛のカタチ……。あなたと会えて、うれしかった。楽しかった」
そしてもう一度。
長い長い口づけ。
コールミーは拳を握り締め、ただ立っていた。
「これが、ホントの気持ち。あなたのワンサイドラブアロー、胸に刺さったまま。でも」
シュウは微笑むと、小さく手を振ってドアを開けた。
「先生、お邪魔しました」
コールミーは、その後姿を目で追うこともなく、立ち尽くし、天井を見上げていた。
目を閉じると、涙が目じりから零れ落ちた。
あいだみちを戻りながら、俺はずっと同じ言葉を繰り返していた。
そうか……。
女の気持ち、見せてあげる……。愛のカタチ、か……。
いろいろ、あるんだろ……。
でも、の後に続く言葉は何だったんだろう。
それに、ワンサイドラブアロー、刺さったまま、ねえ……。
俺にゃ、わからん……。




