表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

289/321

287 ドアがノックされ、入ってきたのは

 すみません。

 散漫で、お聞きづらかった、と思います。


 そう言って、コールミーは黙り込んだ。


 話は終わり、だろうか。


 コールミーはテーブルに両肘をつき、手で両目を覆った。

 次の言葉を探しているのだろう。



 目を上げたコールミーは、笑っていた。

 自嘲気味に、言葉を吐き出した。



 すみません。

 詭弁ですね。


 パクチー汁を飲ませていただいた。

 もう少し、正直にお話ししなくてはいけません。



 今なら、ちゃんと……、正しく……、お話しできます。


 思えば、私は自分勝手だった。

 彼女のこと、彼女の思いにまで考えが及ばなかった。

 私は彼女のことを、結局は何も知らなかった。

 彼女の幸せを願っていたとしても、それは、独りよがり……。


 本当にすまないことをしたと思います。


 私は、ある事情があって、彼女に末永い幸せをもたらすことはできません。

 決して。

 決して、です。


 それが分かっているのに……。


 私は……、自分の気持ちに溺れていただけ……、です。



 彼女への気持ち、今はもう、すっきりしています。

 正確に言うと、すっきりさせよう、つまり、もう心の中に思い出としてしまっておこう、としています。

 なぜなら、ここで、なんと、彼女を見かけたのです。

 明らかに避けようとされました。


 はっきり悟りました。


 夢は夢……、だったんだ。


 それを振りかざしたものだから、彼女に嫌な思いをさせてしまっていたんだ、と……。


 ばかげてますよね。

 勘違いも勘違い。

 大バカ者の空回り。

 年寄りの自分勝手な思い込み……。

 彼女の幸せを願っているという気持ち、今となっては……。


 申し訳ないことをしたと、悔やんでいます。

 できることなら謝りたい。

 機会はもうありませんけど。

 私、監視付きの個室に入れられましたから。

 許してはくれないでしょうし。


 ありきたりな言い方ですが、彼女には……。

 幸せに……、好きな人と……、毎日楽しく……。


 私の喪失感……。

 私の問題ですから……。




 ドアがノックされた。


 シュウですが、入っていいでしょうか。


 シュウには、今日、コールミーと会うので、顔の見えないところに避難しておくように言ってあった。

 なのになぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ