表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

283/321

281 追放されることを覚悟せにゃ

「お孫ちゃん」

「えっ」

「お館様がランを娘みたいに思ってるとしたら」

「却下! ありえん!」


「そう? この案、私が出してるんだよ。そこんとこ」

「変なこと、言うなよ」

「どうせラン、完全に先行してるし」


 おい。

 ガリさんの前で、それ言うか?


「妖怪のスピード感と強引さ、思ったら即実行。ハルニナも私も完全に出遅れちゃった。どうせだからこの際」


 おいおい。

 さすがにまずいだろ。


「あれはだな。あれよあれよの成り行きで」

「わかってるって。偽の祝言。何度も聞いた」

「なら、もう言うなよ」

「何度でも言うよ。ね、ガリさん、どう思う?」


 ガリさんに聞いてどうする!


 あの時、ランはれっきとした在学生。

 しかもまだ三年生。

 その学生と偽とはいえ祝言を挙げたとなっては、もう、始末書くらいでは済まないぞ。



「それはあなた方自身で解決してね。私は傍観者してますから。先生が結論、出す問題だから」


 ヤバすぎる。

 ガリの目が吊り上がっていないことは救いだが、追放されることを覚悟せにゃならんかも。



 それにしても、この問答はいつまで続くのやら。


 ハルニナにも以前、選べと迫られたが、決められるはずがないって。

 だが、そう言えば、こう切り返されるだろう。


 もう三人とも卒業したか、辞めたか、休学中。

 学生だからっていう理由は、もう通らないよ。

 年齢だって、ハルニナは二十台後半、メイメイは三十前後、ランに至っては七十才台を過ぎている。

 そろそろ決めてよ。

 と。



「贈り物の件は、急いで考え直すとして、先生、ちょっといいですか?」

 と、ガリの改まった口調。


 ほら来た。

 さっき食べたハムエッグが、食道を逆流してくる予感。


 メイメイは知らん顔。

 手榴弾を投げるだけ投げて、キッチンで洗い物。



「ジンさんから、言付かっています」

「はい?」

「事件のこと。先生、なにかお考えは?」


 そっちか。

 やれやれ。

 まずはハムエッグよ。胃まで到達してくれ。


 事件のこと、正直に言うと、忘れかけていた。

 結局、ジンと話はできていない。


「先生に言っておいてほしいって」


 ジンは、何があっても推理を止める気はない、と言ったそうだ。

 それを先生に伝えておいてほしいと。


「先生。どうされます? 私は、一応、先生のご意見を聞いておこうと思いますけど」



 やはりジンは、そう思っているのだ。

 ここでやめて何になる、というわけだ。

 リーダーとして引っ込みがつかないと思っているのか、解決したいと心から願っているのかわからないが、少なくとも、止めずに突き進むつもり、という宣言だ。


 それなら。


「ここでやめても、得るものは何もないと思います。彼女たちにとって、虚しさだけが残る、そんな終わり方はしたくないと思います。空しい結果に終わろうとも、やり切ること。それに、答えがないのも一つの答え、と言います。制限時間いっぱいまで、考え抜くこと。これが成果、でもいいと思っています」


 自分の心を少しごまかしたことになるが、ガリさん、分かってくれ。


「ですね。きっとそうおっしゃると思っていました」

「彼女らが、たとえ一人でも、続けたいと言う限りは、ですけどね」

「では、ジンさんに連絡してあげてください。彼女、先生に相談したがってましたから」

「はい。もちろんです」


 ふうーーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ