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276 己を労え! 互いを労え!

 ようやくステージに降り立った時、心底、ホッとした。

 ランが女の子の姿に戻って、フェアリーカラーの髪をなびかせて出迎えてくれた。

 ハグされ、もう少しでキスされそうになった。


 皆が笑っていた。

 俺、役目は果たせたか?

 果たせたよな。

 言い過ぎたか?

 まあ、この際、しかたないだろ。


 ランが離れると、今度はハルニナに抱きつかれた。

 やっぱり、私、間違ってなかった。

 ミリッサ先生、素敵でした!


 次はメイメイ。

 ね、今度、二人きりで、また散歩したいよ!

 どこでもいいから!


 飛びついて来ようとしたジンは、フウカに止められた。

 後でね。

 お館様が待ってくださってる。


 その通り。

 会の進行は俺が着座するまで止まっている。


 みんな、応援ありがとう。



 お館様の正面に胡坐をかいて座った。


 間髪入れずに、イタチの声。

 いよいよ弾んでいる。


「それでは、お館様、乾杯のご発声をお願い申し上げまする!」


 皆の者!

 勝ち戦の祝、今宵本番!

 めでたき夜じゃ!

 飲めや歌え!


 己を労え!

 互いを労え!


 そして、御使者によき思い出を作ってさしあげるのじゃ!

 宴を始めい!



 ド、ドーン!

 ド、ド、ドーン!


「うわお! 花火! きれー!」

「めちゃ、デカ! ちょ、ちょ、近くない?」

「わっ、火が落ちてきた!」

「マジ、ヤバ」

 と、宴は始まった。



 これからが本当の意味での試練だった。

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