273 妖怪たちの咆哮は天を揺るがし
強いスポットライトが上を向いていく。
あ、あそこ!
はるか上空。
高度三千メートルは下らない。
ひときわ輝く白い星。
あ、落ちてくる!
星ではない! お館様だ!
ぐんぐん落ちてくる!
なんて、登場の仕方!
そしてこのスピード!
と、上空百十メートルばかりで、お館様はくるりと体をターンさせ、直立する姿勢になった。
「皆の者!」
お館様の大音声が大宴会場の隅々にまで、いや、村全体に響き渡った。
「よく聞け!」
ゆっくり、ゆっくりと降りて来る。
「咆鬼酒角魔獣を封じた皆の手際! 見事であった!」
星々の瞬きが光を増した。
「これで魔獣は五千年は出てこれまい! 皆の働きのおかげじゃ!」
妖の力、ここに健在!
清明以降、こうして集うことは絶えてなかったが、なかなか良いものじゃ!
ワレは、みなと会えて、喜びもひとしおぞ!
妖怪たちの咆哮は天を揺るがし、そのうねりや振動は日本中に達したに違いない。
「さらに!」
え、
え、
え、えええ!
ステージが揺れた。
ちがう!
体が浮き上がっている!
と、と、と。
立ったままの姿勢でゆっくり上昇していく。
わ、わ、わっ。
なんて演出!
怖い!
足の下には何もない。
ステージが遠ざかっていく。
唖然とした学生たちの顔が遠のいていく。
「人間界からご使者が来てくださった!」
うわわわ!
「紹介いたそう!」
まさか。
そのまさかだった!




