110 自分の役だ
ミーティングは、思うように進まない。
無関係であれ、殺人事件が連続していることは、ヨウドウに話せない。
妖怪がらみの話は、スズカやブルータグ、ピンクタグに話せない。
のであれば、突破口かもしれないことは何もない。
ジンが珍しく唇を噛んでいた。
このままでは集まった意味がない。
制約を取り除くのは、自分の役だ、と思った。
ヨウドウと呼びかけるのと、ジンがヨウドウ先生、と言ったのは同時だった。
ヨウドウの充血した目が、ジンを見、そしてこちらに向いた。
ジンに代わって、言うべきこと。
「ヨウドウ。辛いだろうが聞いてくれるか」
ジンの目が、お願いできますか、と言っているように見えた。
「アイボリーが殺されたとは思っていない。探し出す。だからこうやって集まっている」
「……」
「警察にはなにも手掛かりはなさそうだ。何もしていないわけじゃない。一方で殺人事件が起きてる。だが、失踪事件の人数が多すぎて、手が回らん状況だそうだ」
「かもしれんな」
「俺たちは、失踪事件と殺人事件を同時に議論しようと思う。同列に扱うわけでもないし、同じ根っことして扱うわけでもない。何らかの接点があるかもしれないという前提で、だ。なにしろ、俺たちは妖怪の存在を知っている。彼らがなにか、知ってるかもしれない」
ヨウドウの目が厳しくなった。
スズカやブルータグらの目が見開かれた。
「アイボリー固有の理由、ミカン固有の理由、があって自らどこかに行った可能性もないとは言わない。でも、百人以上が姿を消してるんだ。同時に。つまり、全員が、何らかの意図でもって姿を消した。あるいは、何らかの作用、力、でもって連れ去られた、と見るのが順当じゃないだろうか」
ヨウドウが唸り声を上げた。
ガリがそんなヨウドウを見ていた。
「共通の意図で自ら姿を消したのなら、いずれ警察が居場所を突き止めるだろう。でも、何らかの作用、力、でもって連れ去られたのなら、まさに超常現象じゃないか?」
その場合、警察に任せておけば、それでいいのか?
解決するのか?
助けられるのか?
「俺は、ランに、あるいは妖怪連中に助太刀を頼むべきなんじゃないか、と思ってる。失踪事件と殺人事件、全部について」
「ミリッサ、ちょっと待て。殺人事件? 何のことだ? 居酒屋の店主は自殺したんじゃないのか?」




