102 ご伝言、申し上げまする
ヲキから連絡があった。
妖怪村にいるハルニナやメイメイとの連絡方法がないのは支障があろう、との配慮で、その連絡係としてヲキが選ばれた、とのことだった。
ヲキ曰く。
現在、妖怪村のPHルアリアン拠点自体に特段の変化はない。
ハルニナがお館様と面会し、PHカニの療養者の受け入れを依頼し、承諾を得たとのこと。
お館様としては、まだ、人間に妖怪の存在を明らかにするのは時期尚早。
したがって、療養者もそのサポート係も、出入りする者すべて、元から妖怪の存在を知っている者、つまりPHに限る、との条件付き。
念のため、妖怪村で、ではない。
妖怪と人間の不測の接触、衝突を避けるため、あいだみちの体内で。
つまり、どこかわからない林床に療養所を建築させる。
とのことだった。
見返りについて、ヲキは話さなかったが、聞かされていないのかもしれない。
こちらからは、アイボリーとミカンの行方を皆で捜すつもりだと伝えておいた。
三四郎。
ジンの元ペットロボット。
今、手元に置いてある。
テーブルの上に。
ランとの連絡手段。
持っていて、と言われた。
その三四郎が、目を開けた。
「ミャー・ラン殿より、ご伝言」
おっ。
早速か。
「そのまま、申し上げまする。今から、行くねー」
そうか。
「待ってる、と伝えてくれ」
「かしこまってござりまする」
なかなか、これは便利かも。
いや、今だから、そう思うんだろうな。
いつもこの調子で、ランと接続されていたら窮屈この上ない。
そもそもランは、いつも一方的。しかも断片的な言葉だけ。
こっちの都合など、構っちゃいない。
でも、今は、なんとなくホッとする。
それにしても、どういう仕組みなんだ?
この草、どこにいても、妖怪界と人間界に離れていても、ランはコントロールできるということか?
ま、いい。
ランもよく言っていた。
だから人間はだめ。科学や理論で説明できないことを「異」としてしか見ず、拒絶する。
目の前に起きていることを素直に認め、受け入れようとしない、って。
トカゲは目を閉じた。
メッセージは終了だ。
フフ。
それにしても、元はなんの草か知らないが、声は男の子、そう、なんとなく……、そうだ、三四郎の声だ。
それがランの口真似。
おもしろい。




