第7話 リアンとの出会い⑤
降恒6時55分
天気:晴れ
場所:エリシア第三衛星エルフリナ
ここは惑星エリシアの第三衛星エルフリナ。そこは宝石のような青緑色の氷層に覆われた小さな衛星だ。その内部には巨大な地下空間が広がり、古代の巨大神殿を思わせる質素な建築物が静かに佇む。氷に反射する日光を受けて眩いほどに輝くその建物は、白大理石とガラスの装飾が静謐な美しさを醸し出している。
その建物の一室。天井まで続く広間の最上部に設けられたガラス窓から光が差し込む部屋で、白銀のツーブロックヘアを持つ青年が執筆に耽っていた。柔らかな楕円形の顔立ち、涼やかな奥二重の青い瞳、細く整えられた鋭い眉、優美な鼻筋、そして弓を引いたような形の小さな口元。グレーのボディースーツに包まれたその青年は、まさに美形と呼ぶにふさわしい容姿を備えている。
降恒七時。
重厚な木製扉が開き、薄暗い空間から長身の男が現れた。彼も青年と同様にボディスーツを身につけ、その上からコートを羽織っていた。彼の艶やかな金髪は、前髪が自然に額にかかり、後ろ髪は緩やかな三つ編みにまとめられている。一部の髪が緩やかに波打ち、繊細で複雑な印象を与えていた。小麦色のきめ細かな肌、柔らかいラインを描くその顔立ちは、まるで宝石のように輝く。
「そろそろ私たち二人でエリシアへ向かうぞ。長期間滞在できる準備はできたか?」
金髪の男は、声を弾ませ青年に問い掛ける。すると銀髪の青年は顔を上げ、静かに思っていたことを問いかける。
「はい、準備はできています。しかし、私たちだけでよろしいのでしょうか。国の調査にしては少々数が少ない気がしますが……本当に他の研究員を同行させる必要はないのですか?」
「いや、今回は我々だけで行こう。のちの活動のためにできる限り政治資金を節約したいからな……それに……」
金髪の美男は何か考え込むように黙り込んだ。その横顔に、銀髪の青年はいつものように言葉を飲み込んだ。彼が口にしたくないことは、安易に問いたださず察する。それが、長年の間に培われた二人の関係のようだった。
「それならば、次に向かう場所はどこでしょうか?アメリア連邦国の調査はほぼ終えましたし……次に向うとすればレガリス共和国家ですね?」
すると金髪の美男は顔を上げた。その表情には、何か覚悟を決めたような色が浮かんでいる。
「そうだ。我々はこれからレガリス共和国家へ向かう。そして、その調査の後には惑星アレアだ。これで人類が住む全地域を巡ることになるな」
「確かにそうですね。では、まずレガリス共和国家のどのあたりから調査しましょうか?」
青年の問いかけに、金髪の美男は、わずかに天井を見上げ、何かを思い出すように少し考え込んだ後、手にした情報端末『フレモ』を操作し、表示を拡大した。そこに映し出されたのは惑星エリシアの世界地図であり、各地にマーカーが点在している。彼はさらに表示を拡大し、レガリス共和国家を表示させた。そこには、これから彼らが向かうべき場所を示す無数のマーカーが光っている。彼は大陸の最西端から、それらのマーカーを指でなぞるように辿っていき、最後に一点を指し示した。それはレガリス共和国の東南部に位置するイオニア県。そこが、彼らの最終目的地だった。
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