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004 VS ロックトータス、そしてレベルアップ

「ロキさん、なんだか同じような魔物ばかりですね……」


 アリアが、少し退屈そうに言った。

 洞窟に入ってから、しばらくの間、俺たちはブラッドバットばかりと戦いつづけていた。


「ああ。だが、これも必要なことだ」


 ブラッドバットを倒し続けることで、アリアの特殊防御の努力値が溜まっていくはずだ。


「……キュイ!」


 ミズタマが、何かを見つけたように鳴いた。

 視線の先には、今までとは違う魔物がいる。


「あれは……ロックトータスか」


 岩のような甲羅を持つ、巨大な亀。

 ブラッドバットの次に現れる雑魚モンスターだ。


 ロックトータスは、防御力が高いのが特徴だ。

 しかし、特殊防御は低い。

 そして攻撃は全て物理攻撃。


「アリア、今度はミズタマに攻撃を受けさせてくれ。アリアは後ろで待機だ」


「わかりました」


 アリアは俺の指示に頷いた。

 俺はミズタマをロックトータスの前に移動させる。


「グゴォォォ!」


 ロックトータスが、その巨体を揺らしながら、突進してきた。

 ミズタマは、小さな体を震わせながらも、その突進を受け止める。


「キュキュイ!」


 ミズタマの防御力は、ロックトータスの攻撃を完全に防いでいる。

 ダメージは受けていないようだ。


「ミズタマ、毒液だ!」


 俺の指示で、ミズタマが紫色の液体を噴射した。

 毒液は、ロックトータスの甲羅に命中する。


「グゴォ……?」


 ロックトータスは、苦しそうに動きを止めた。

 毒状態になったようだ。


 あとは同じことの繰り返しだ。

 ミズタマに攻撃を受けさせ、毒でじわじわとダメージを与えていく。

 俺とアリアは後ろで待機しているだけだ。


 体力が残り少なくなったところで、ミズタマに『たいあたり』をさせて体力を削り切る。

 そうすることで、ロックトータスから得られる努力値がミズタマのものとなる。

 ロックトータスを狩ることで、防御の努力値が上乗せされるのだ。


「ロキさん、この戦い方、本当に安全ですね……!」


 アリアが感心したように言った。


「ああ。時間はかかるが、確実に敵を倒せる」


 これが難易度INFERNO序盤の最適解だ。

 リスクを最小限に抑え、着実に進んでいく。


「でも、これじゃあ、私の出番が全然ないじゃないですか……」


 アリアは、少し不満そうに頬を膨らませた。


「心配するな。そのうち、アリアの力が必要になる時が来る。アリアがいないと、俺はこの先、生きていけない」


 アリアは少し照れたような表情を浮かべた。


 ん? ちょっと言葉を選び間違えたかもしれないな……。

 とはいえ、難易度INFERNOでアリアがいなければ即死なのも事実だ。


「……キュイ!」


 ミズタマが俺とアリアの間に入ってきた。

 まるで嫉妬しているかのようだ。


「ミズタマも、よく頑張ったな」


 俺は、ミズタマの頭を撫でてやった。

 ミズタマは気持ちよさそうに目を細めた。


 それからしばらくの間、俺たちはロックトータスを狩り続けた。

 ミズタマに攻撃を受けさせ、毒液で弱らせ、最後は体当たりでとどめを刺す。

 単調な作業だが、確実に経験値と努力値を稼ぐことができる。


「キュイキュイ〜!」


 ミズタマが嬉しそうな鳴き声を上げた。

 見ると、ミズタマの体が、淡い光に包まれている。


「レベルアップしたな」


 ミズタマのレベルが2に上がった。

 ステータスを確認してみる。


---

 名前:ミズタマ

 種族:スライム

 レベル:2

 HP:12/12

 MP:6/6

 攻撃:1

 防御:65

 特攻:1

 特防:1

 速度:1

 スキル:体当たり、毒液、とろける

---


 防御力が10上がっている。

 通常のレベルアップでは、ここまで防御の値は上昇しない。

 努力値の効果も、きちんと出ているようだ。


「ミズタマさん、強くなりましたね!」


 アリアが、ミズタマを抱き上げて、頬ずりした。

 ミズタマも、嬉しそうに体をくねらせている。


「アリアも、レベルアップしてるんじゃないか?」


「え? 私ですか?」


 俺は、アリアのステータスを確認した。


---

 名前:アリア

 職業:錬金術師

 レベル:3

 HP:22/22

 MP:20/20

 攻撃:1

 防御:3

 特攻:18

 特防:78

 速度:9

 スキル:ヒール、物質検知、幻影障壁(ファントム・バリア)

---


 レベルが3に上がっている。

 そして、特殊防御が大幅に上昇していた。

 ブラッドバット狩りの効果が出ているようだ。


「すごいじゃないか、アリア。特殊防御がかなり上がってる」


「本当ですか!? やった!」


 アリアは無邪気に喜んだ。


 そういえば、新たにスキルも増えている。

 ファントム・バリアは、自分の体力を消費して、一時的に幻影をつくりだし、身代わりにする技だった。

 まだしばらくは使い所がなさそうだ。


 なにはともあれ、この調子で、どんどん強くならないとな。


 ……俺は自分のステータスも確認してみた。

 当然のことながら、全く変化なし。

 レベルも1のままだ。

 全ステータス1。最弱すぎるだろ。


「ロキさんは……レベル、上がらないんですね」


 アリアが心配そうな顔で俺を見つめてきた。


「ああ。俺は、そういうジョブなんだ」



「……でも、ロキさんは、すごいと思います」


アリアが、真っ直ぐな瞳で俺を見つめてきた。


「だって、こんなに安全な戦い方を考え出して、私とミズタマを導いてくれるんですから。私、ロキさんがいなかったら、どうなっていたか……」


「これからも末永くよろしくな」


 俺のその言葉に、アリアは顔を真っ赤に染めていた。

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