第七話
アメリア・オルガナを探すべく食堂へ向かうと、大きな音がして、驚きで足が止まる。
「そこのあなた。何があったの?」
「え、いつものことよ。全部彼女が悪いの」
「彼女って誰のこと?」
「分からないの?ほら、あれ」
令嬢が指した方を見ると、昼食を頭から被っている・・・
「・・・アメリア」
「やっとわかった?ところで生意気なあんたは何クラス?私は伯爵家で特クラスの・・・」
「やめなさい!」
アメリアを救うために、アメリアの方を指した令嬢を放置して彼女の前に立つ令嬢の方へ向かった。
「・・・ああ、ご令嬢ですか。非常に有名ですね」
「っ・・・!み、見たことない顔ね!伯爵令嬢に逆らってどうなるかわかって・・・」
「あら、私をご存知ないかしら?・・・ああ、こんな身分の低い人、お茶会に誘ったことないものね。この程度の品格なら無理もないわ。」
「なっ・・・!あんた一体・・・!」
「まあ、落ち着きなさい。・・・ソーク」
アメリアを虐めていた令嬢を、拘束魔法で身動きがとれないようにする。
「あんた誰よ!私はオイル伯爵家の・・・」
「アメリア様、大丈夫ですか?今治しますね」
ぎゃあぎゃあ騒いでいる令嬢を放置して、聖女の魔力を使ってアメリアの怪我を治す。
「あ、あれは!」「聖女の魔法かしら?」「神々しい・・・」「すごく上品ね・・・」
聖女の魔力を使ったため、周りから感嘆の声が漏れる。
「なっ、あんたもしかして・・・!」
「オイル伯爵家は財政難なのかしら。まともな教育を受けられていないからこんななのね。」
「あんた、まさか、あんた・・・!」
「誰にその口を聞いているのかしら。・・・あ、もしかして名乗らないと分からないかしら?誰から名乗ったらいいのかすら分からないのね。」
「こ、公女様!無礼をお許しください!ですが、もとはその女が悪いんです!その女が・・・」
「アメリア様、本来の身分を明かしてはいかがですか?」
「・・・そうね。」
「はっ!子爵令嬢の分際で・・・」
「私は・・・アメリア・オルガナよ。」
「「「っ・・・!!」」」
食堂全体に衝撃が走る。
・・・まあ、子爵令嬢だと思っていた人が皇族だなんて、驚くわよね。
アメリアは、ロマーノの姉。
社交界に出ないため、顔が知られていない。
そのため、社会勉強、と子爵令嬢名義でアカデミーに無理やり入学したそうだ。
私もその話を聞いたときは驚いた。
まさか、お忍びの皇族がいじめられてるだなんて知らなかったけど。
「オイル伯爵家に、皇̀室̀を̀通̀じ̀て̀ご連絡させて貰うわ。」
「皇̀女̀殿̀下̀、制服が汚れていますので着替えに行きましょう」
驚愕で崩れ落ちる令嬢を横目に、私たちは颯爽と食堂を出ていく。