第三話
短いのと、年末年始なので(いつまでかは活動記録見てください)しばらく毎日投稿します。
「ベラティア公爵様、公女様の魔力診断を担当しました、大神官のカイル・クエイドです。」
「ああ、ご苦労。」
「公女様の魔力診断の結果をお伝えしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、早く教えてくれ」
「公女様は、聖女の魔力をお持ちです。ですからぜひ、神殿にお住いを移して欲しいと思いまして。」
「・・・つまり、我が娘をこき使いたいと?」
公爵が、さっき私が思ったことを言葉に出した。
思考が似てるのが面白い。
「ま、まさか!公女様にそんなこと・・・」
「とにかく信じられん!我が娘は我が家の家庭教師に任せる。神殿にはよこさない!」
「・・・分かりました。では、お引き取りください」
公爵家になんて失礼な発言だ。
今にも爆発しそうな父を止めて、ひとこと言わせてもらった。
「カイルって素敵な名前ね。もっと早く知りたかったわ。・・・お父様、帰りましょ。」
「っ、フィオナ・・・?!まさか、大神官のやつが・・・?!」
「ほら、邪魔になってしまうんでしょ。帰りましょう」
「あ、あのっ、公女様・・・」
「失礼します、カ̀イ̀ル̀様̀。」
「大神官」ではなく「カイル」と言ったこと、その前に「もっと早く知りたかった」と言ったことは警告の意味がある。
大神官は、伯爵と同程度の身分。
身分が下の者が上の者に挨拶をした上で名乗らなくてはいけないのに、大神官はわたしに挨拶だけして、名乗り忘れと見せかけて世辞を言った。
挨拶すらしないよりはまだマシだが、重大なルール違反になる。
このことから、国を支えるベラティア公爵家への侮辱と捉えられる。
大神官の顔が真っ青で、なんて面白い。
馬鹿にしていた少女に一泡吹かせられるだなんて、愚かにもほどがあるわ。