第二十六話【最終話】
「・・・ってことがあったのよ。」
「そうなんだぁ〜!お母様強いね!」
「ありがとう。」
「ところで、元王太子様?と王様はどうなったの?」
「王太子は国外追放で、王はあなたのお父様の補佐よ」
「ってことは、たまに来るあの人が元王様ってこと?!」
「うん。すっかり改心して、一生懸命働いてくれてるわ。」
「へぇ〜。・・・じゃあ、お父様の髪にひと房ある黒色の髪も、右の真っ赤な瞳も、悪霊の魔法が使える証拠なの?」
「そうね。」
「入ってもいいか?」
「あっ、お父様!いいよっ」
「リディア、一体何を・・・ってフィオナと話してたのか。」
「うんっ!お母様とお父様の昔のお話をしてたの。お父様かっこいいね!」
「・・・まさかフィオナ、全部話したのか・・・?」
「ええ。リディアも知りたそうでしたし、いいでしょう?」
「うん!お父様すごいよね〜っ。悪霊の世界の王で、皇帝様だし。お母様も、初代聖女様の生まれ変わりなんでしょう?お母様綺麗〜〜っ!」
「ふふっ。ありがとうリディア」
あの日から10年後。
ロマーノは 皇帝&悪霊の王 になり、私は 皇后&初代聖女の生まれ変わり としてオルガナ帝国を治めることになった。
そして、授かった子供がリディアだ。
「・・・あれ?アメリアおば様って、元王様と恋人なんでしょ?ってことは、元敵とラブラブってこと?」
「ああ。」
「すごい!アメリアおば様すごいわ!」
人間界と悪霊の世界の境目の扉は、ロマーノが皇帝になった時から開けられた。
悪霊達にも王と認められた彼の功績により、対立していた人間と悪霊の仲が改善した。
「・・・じゃあお母様、お父様、お散歩に行きませんか?」
「ええ。」
一回目の人生で周りの人に恵まれなかった私が、愛してくれる人を見つけて、結婚して、子供にまで恵まれた。
その全ては、彼がいなければ叶うことはなかったことだ。
「・・・ロマーノ」
「何?」
(リディアがいるから、ほっぺにしよう)
ちゅ、とリップ音を立てて、ロマーノの頬に唇が触れる。
「っ・・・!」
「私からこんなことするの久しぶりですね。・・・いつもありがとうございます、ロマーノ」
「・・・リディア、ちょっと待っててくれる?」
「はーいっ」
「・・・フィオナ、煽ってる自覚ある?」
「皇帝陛下が勘違いされてるのでは?」
「はあ・・・」
「とにかく、今はリディアと散歩に行きましょう。」
「ああ。お手をどうぞ、レディー」
「ふふっ。」
私たちは、新しい世界へ歩み出す・・・
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「ねえザカリー、お父様かっこいいでしょ?お母様綺麗でしょ?」
「はい。皇女様も、お二方の美貌を引き継いで美しいと思います」
「わ、私のことじゃないのよ・・・。でも、ありがとう!」
「ザカリー、リディア、こっちにおいで」
「あっ、お母様が呼んでるわ。ザカリー、行きましょう!」
「はい、皇女様。」
「ザカリー、公爵が来たわよ。」
「はい、皇后陛下。」
「そんな堅苦しい返事はなしよ。フィオナでいいわよ」
「はい、フィオナ様。」
「私もリディアでいいよっ」
「ありがとうございます、リディア様」
「・・・フィオナ、入ってもいいか?」
「ロマーノ?どうぞ」
「リディアはザカリーに夢中だな」
「ええ。私の娘ですから、惹かれるものがあるんでしょうね」
「・・・そういうことか。ザカリーは昔 _____ 」
「ええ。さすが悪霊の王ですね。ザカリーは・・・」




