第二十五話
「・・・・・・ん?」
「ふうっ、間に合った・・・」
おそるおそる目を開けると、私の金色の結界ではなく、見慣れた 黒色の結界が張られていた。
「まさか・・・!」
「フィオナ、もう大丈夫。」
「大丈夫じゃないです!なんで魔力が戻ってるのですか!」
・・・そう、ロマーノが悪霊だったときの力が戻ってきて、私に結界を張ったのだ。
(普通に魔法を使いこなしてるわ・・・。)
「体は大丈夫ですか?」
「ああ。昔に戻った感覚だ」
(そうでしょうね。髪と瞳の色まで戻ってるんだから・・・)
「何か付いてるか?」
「・・・ただ、髪が一部黒くなってて、瞳がオッドアイなだけです。」
「そうなんだ。かっこいい?」
「・・・元王太子の方は?」
かっこいいけど、言うのは恥ずかしいから話をそらす。
「・・・ああ、王と纏めて拘束しておいた。あれは完全な罪人だしね」
遠くで拘束されている二人を眺めていると、ロマーノが私の手を握る。
「ねえ、かっこいいって言ってくれないの?」
「・・・恥ずかしいので」
(あっ、これは肯定してるのと同じだわ!)
「・・・そっか。嬉しいよ」
(あぁ〜っ。どうして鋭いのよ〜)
「恥ずかしがってるフィオナ、珍しくて可愛い」
「はい、そうですよ!殿下以外に恥ずかしいと思うことなんてありませんよ!」
「・・・ねえ、いつになったら名前で呼んでくれるの?」
「それは・・・婚約が決まってからです!」
「じゃあ、今から呼んでくれない?」
「えっ?」
ロマーノは地面に片膝を付いて私の手を取り、美しいオッドアイで私を見つめる。
「・・・最初からずっと愛しかった。フィオナは上辺の言葉は信じないけど、これだけは本当だ。公式な文書にして全世界に公開してもいい。だからフィオナ・オリィ・ベラティア嬢、このロマーノ・オルガナと結婚してもらえませんか?」
「・・・分かりました。未熟な所もあるとは思いますが、よろしくお願いいたします」
「ダメだよね・・・って本当?!嬉しい!!」
「ふふっ。あなたが何を言っても、婚約はするつもりだったわよ。だって、こんな私を愛してくれるのは、あなたしかいないもの。」
「・・・ねえ、またキスしていい?」
「そんなはしたないことを、屋外で口に出すんじゃありません」
「はあい。・・・じゃあ、元の世界に戻ろうか」
「ええ」