第二十四話
轟音がして、周りの建物が崩れ落ちる。
(はあっ、はあっ・・・。体力がないわね、この体・・・)
「なんだ、もう息が上がってるのか?」
「ええ。この体は体力がなくて困ります」
「・・・はっ」
王から攻撃魔法がどんどん飛ばされ、神聖力で常に張られている結界が対応しきれなくなっている。
強力な結界を事前に貼っておくべきだった。
王を馬鹿にしていたわね・・・。
(これ以上は本当に危険だわ。もう一枚結界を張って・・・っ?!)
「あーあ。あの聖̀女̀様̀があっさり罠にかかっちゃって残念だ」
「くっ・・・!」
結界を新しく張るときは、既にある結界の効能を止めてからでないと張れない。
その”一瞬の隙”が、バレてしまったようだ。
おかげで、結界を貼り直すことができない。
(一瞬の隙が、命を奪う・・・。)
「お前の首を持っていったら、ロマーノはどんな顔をするんだろう。ああ、早くみたい」
王の魔法で赤黒い剣が現れ、私の首元を狙って振り落とされる・・・
「・・・絶対に、死なない!」
「な、なんだこれは!」
体の奥底から溢れんばかりの魔力が湧き出し、王が振るった剣を弾き返す。
魔力は大蛇のように自在に蠢き、フィオナを護るように覆う。
「これは・・・初代聖女の力・・・?」
(文献で見たわ。初代聖女は、大量の魔力を大蛇のように自在に扱えて、遺言で自分の生まれ変わりがいつか生まれる、と。)
「どうしてこんなタイミングで・・・!くそっ、攻撃が効かないっ!」
(・・・この魔力の使い方が、どんどん頭に入ってくる。・・・じゃあ、この人をなんとかしよう)
脳内に浮かんだ方法で魔法を繰り出すと、悪霊の王はあっという間にやられる。
「・・・よし、拘束完了。あとはロマーノが・・・」
ふと後ろを見ると、二人はまだ戦っていた。
(・・・ロマーノが少し優勢ね。長時間戦にも耐えられるなんて。)
遠くから眺めていると、ロマーノが私に気づく。
「あっ、終わった?」
「話していて大丈夫ですか?」
「うん。この人そんなに強くないから」
「なっ・・・!お前、英雄になんてこと・・・」
「はっ。・・・フィオナ、後ろっ!」
「えっ?」
後ろを見ると、なぜか王が立っていた。
「ど、どうして・・・・?」
「フィオナ、伏せろ!」
(だめだ、いつの間にか拘束魔法が・・・)
「まさか聖女が拘束魔法如きにかかるとは。ロマーノの目の前でやってやる!」
(今から魔法を破壊するにも間に合わないし、制限下で できる限り強力な結界を貼っても悪霊の剣を防げないかも・・・。)
もうだめだ、諦めよう。
さっきのように剣が振り下ろされるが、何も出来ず、目をつぶって痛みに耐え・・・