第二十二話
長くなった・・・
あれから暫くあと。
リリアン様にも協力してもらって計画を立て、今日は・・・悪霊の王と決着をつける日。
「ロマーノ様、皇女様、入ってもよろしいでしょうか」
「ああ」
ロマーノとアメリア様が居る、公爵邸の応接室へ向かうと、ロマーノは騎士団のような服装をしていた。
「その服装もかっこいいですね」
「ありがとう。フィオナも、似合ってる」
「ありがとうございます」
私も、今日のために・・・と、仕立てた女性用の騎士服に身を包んだ。
「悪霊の世界への行き方はわかるの?」
「はい。何回か行ったことがあるので、迷子になることはないと思います。」
「・・・私も連れて行ってくれない?火の魔力で援護するわ!!」
「皇女様まで危険に晒す訳にはいきませんから・・・」
(火の魔力は魅力的だけど、皇女様までお連れする訳にはいかない。)
「えぇ〜っ。・・・じゃあ、これあげる」
どうしても行きたい、とギリギリまで頼み込んできたアメリア様が、赤やピンク、オレンジ色の宝石が埋め込まれたネックレスを渡してくれる。
「・・・これは、火の魔力が使えるネックレスですか?」
「正解。祈れば粉々になるまで使えるわ。」
「・・・素敵なネックレス、ありがとうございます。使うことがないことを祈ります」
「うん!・・・ロマーノ、ちゃんとフィオナを守ってよね?」
「はい、お姉様。」
微笑ましい姉弟のやり取りを見たあと、数日前のように悪霊の世界の入口を召喚する。
中に入ろうとすると、ロマーノが手を差し出してくる。
一呼吸した後、一歩前へ踏み出した・・・・
前とは違って、荒廃した地に召喚された。
「あれ?王城はどこに・・・」
「きっと、目隠しの魔法を使ってる。魔法を解けば出てくると思う」
(目隠しの魔法・・・。聞いた事はあるけど、実際に使われるだなんて・・・。)
「とりあえず、どこが根元か確認しますね」
「ああ。」
魔力を周囲に流すと、魔力が跳ね返ってくる場所を見つけた。
(ここを壊せばいいのかな?)
「では、偉大なるロマーノ皇太子殿下。ここを壊していただけると助かります」
「・・・煽てればやると思ったの?・・・まあ、フィオナだからやるけど」
「魔力は体力ほどすぐに回復しないので。」
「確かに。・・・ここか?」
「はい。お願いします」
鞘から剣を抜き取ったロマーノは、結界に剣を勢いよく刺す。
「・・・やはり、魔法でないと壊せないか?」
「あっ、結界が歪み始めました。危ないので下がってください」
「フィオナこそ後ろに下がって。俺がなんとかするから」
「いいえ。・・・守護結界があるので、そこに入ってください」
「わかった」
(あっ、簡単に言っちゃったけど、結界の範囲って狭いんだった・・・。)
「・・・これで入ってるか?」
「いいえ。もう少し近づかないと・・・」
「・・・ああ。」
(やばい、距離が近すぎる・・・!!)
守護結界の弱点。
それは、誰かを結界内に入れるなら、かなり距離を詰めないといけない、ということ。
(下手に動いたら触っちゃう・・・)
「どうした、フィオナ。」
「な、なんでもないです!」
「・・・照れてるのか?」
(なんでこんな時に勘が働くのよ、より恥ずかしいじゃない!)
「・・・ほら、これでいいだろ」
ロマーノに抱き寄せられ、抱きしめられている状態になった。
「ど、どこがいいんですか!まだ婚約もしていないのに・・・」
「でも、そのうち結婚するだろう?だから早くなっただけだ」
「っ・・・!」
(恥ずかしいっ!早く結界壊れて・・・!)
「恥ずかしがってるフィオナも可愛い」
「そ、そんなこと・・・!ちょ、何するんですか!」
抱きしめられただけで恥ずかしくて死にそうなのに、額にキスまで落とされる。
「・・・嫌だった?」
「い、嫌な訳ではありませんが・・・」
(子犬のような顔をして上目遣いで訴えるだなんて、どこで学んだのよ・・・)
「なら良かった。じゃあ、もっとキスしてもいい?」
「そういう問題ではありません!・・・あっ、結界が壊れてます!」
「・・・本当だ」
(よし、気を逸らすのは成功!あとは逃げるだけ・・・)
「おっと、可愛いフィオナちゃんは何を逃げようとしているのかな?離さないよ」
「でも、行かないと・・・」
「ちょっと待ってよ」




