第十七話
めちゃ長くなった ^^;
ロマーノとクズ王太子が帰って、翌日、部屋の机の引き出しから紙を出し、今わかっていることを書き出す。
(まず、トワイ帝国の皇太子は元クズ王太子。悪霊の王から力を貰ったって言ってたから・・・。)
「フィオナ様」
「なあに?」
「皇太子殿下がいらっしゃいました」
「・・・なんで?」
「フィオナ様に事件の詳細を聞きたい、とのことです。」
「・・・着替えるから手伝ってもらえる?」
「かしこまりました」
「皇太子殿下、フィオナです」
「ああ、入ってくれ」
部屋に入ると、ロマーノだけでなく公爵もいる。
「座っていいよ」
「ありがとうございます」
何の話をするのか・・・と構えていると、普通に事件の話だった。
「フィオナ嬢、怪我はないか?」
「はい。」
「じゃあ、事件の詳細を教えてもらえるか?」
「はい。・・・公爵邸へ帰ってくると、クローディア皇太子殿下がいらっしゃっていると聞き、お話をしていたら少し危険になっただけです。」
「最後に言っていた『オバド王太子』は、誰のこと?」
(くっ、やっぱり覚えてたか。)
「あれは、頭の中に思い浮かんだ言葉を咄嗟に言っただけです。そう言っていたんですね。」
「・・・そうか。まだ少し気になることがあるんだ」
「何でしょうか?」
「『聖女に勝てるのは悪霊の王ぐらいだ』と、知り合いが言っていたんだ。」
「・・・それは奇遇ですね」
「フィオナ・・・本当に覚えていないのか?」
「・・・。」
沈黙は、肯定・・・・
「フィオナ、本当か?本当に・・・」
「何か、誤解をなさっているようですね」
「フィオナ、嘘はつかなくていいよ。気づいているんだろう?」
(どうしよう。黙って受け入れる?)
「・・・はい、気づいています」
「っ・・・!い、いつから・・・」
「ただし、このまま婚約するつもりはありません。私が好きになったのは『悪霊のロマーノ』です。なので、『皇太子のロマーノ』を好きになったら婚約してもいいですよ」
「・・・分かった。じゃあ今日のところは帰るよ。・・・待っててね」
「・・・はい」
耳元でロマーノが囁いて、少しドキッとしたけど、表情にも声にも出さなかったから大丈夫・・・なはず。
案外短期戦になりそうだ・・・と思いつつ、ロマーノを見送るのだった。
「フィオナ!大丈夫か?」
「あっ、お父様。少し計画からズレましたが大丈夫です。彼の告白が聞けそうなので。」
「記憶を隠す理由はそれだしな。・・・ところで、トワイ皇太子は前世の知り合いか?」
「はい。彼こそが、私を粗末に扱った張本人です」
「っ・・・!フィオナ、すまなかった。もっと早く気づいていたら・・・。」
「彼の呆気にとられた顔を見れて、満足しました」
「・・・。フィオナは強いな」
「それだけはトワイ皇太子に感謝ですね」
「さあフィオナ、ティータイムにしよう」
「・・・はい。お父様」
それから、ロマーノと協力して「悪霊の王」について情報を共有した。
「私は、ロマーノが王だと思っていました。」
「俺は王の右腕だっただけ。悪霊の王だとは言わなかったよ?」
「・・・たしかに。」
「悪霊の王が王になる前、命を狙われていた所を助けて、そこから執着されてるんだ。」
「じゃあ、ロマーノがいなくなった原因の私を倒そうとしてるってこと?」
「ああ。フィオナに一回目の人生で召喚されて、悪霊の世界に戻ったときに、しばらく離してくれなかったからな。その線が濃いと思う」
「そうなのね・・・。私は、ロマーノが悪霊の王だと思っていたわ。だって、誰もいないみたいなこと言ってたじゃない?」
「それは、フィオナと離れたくなくてそう言っただけで・・・。」
「そうなのね。・・・じゃあ、詳しい作戦は考えておくから、アメリア様を通して連絡するわ」
「なんで直接じゃないの?」
「変な噂が立ったら困るの。私に告白する前に婚約することになったら、一生いじるからね」
「まあ、そこら辺は姉さんと協力して何とかするよ。だから、直接話そうよ?」
(捨てられた子犬みたいな顔して・・・。)
「そんな可愛い顔したって騙されないわよ。とにかく、人員は多い方がいいでしょ?」
「か、可愛い・・・?」
「ええそうよ。私の未来の婚約者は可愛いの。わかったわね?」
「う、うん・・・!わかった!」
ご機嫌で帰っていくロマーノを微笑ましく見守りつつ、次はどうするか・・・と計画を練り始めるフィオナだった・・・。