第十六話
この皇太子、あのクズ・・・じゃなくて、一回目の人生のあのクズ王太子の生まれ変わり?
「・・・初対面のはずですが、勘違いなさっているのでは?」
「しらばっくれても無駄だ。俺は天啓を受けたんだ」
「・・・どんな天啓ですか?」
「飼い主に逆らった犬がうろちょろしている、とな。」
やっぱり、生まれ変わってもクズは変わらないのね。
『側室を取らない』って言ったって、同じことを繰り返すだけでしょ。
「・・・はあ。失望しました、クローディア皇太子殿下。」
「なんだと?!」
「今までの会話は全て記録されていて、お父様も聞いています。・・・きっと今頃、我が国の皇帝陛下の元に向かっているでしょうね。」
「くっ・・・!でも、天啓を受けたんだ!俺が言っていることが正しい!」
「ふっ、聖女の前でよくそんなことが言えますね。」
「なんだと?!」
「天啓があったら、女神様を通して私にも天啓の大まかな内容が伝えられます。そんな天啓、なかったはずですが。」
「何嘘をついているんだ!フィオナ、いいから行くぞ!」
焦ったクズ(元)王太子が私の腕を掴もうとすると、彼の首元に剣が突きつけられる。
「だ、誰だ!!」
「ロマーノ・オルガナだ。皇̀太̀子̀殿̀下̀ならわかるだろう?」
「っ・・・!」
「よくも、我が国の聖女に手を出したな。その罪は我が帝国で償って頂こうか。」
「へ、陛下はなんと仰ったんだ!トワイ帝国の皇帝陛下が・・・!」
「トワイ帝国の皇帝陛下も許可なさった。大人しくしろ」
「くそっ・・・!」
すると、クズ王太子から黒い煙が漂う。
「ロマーノ殿下、お下がりください」
「・・・ああ」
その煙は、私たちの方へ向かってきて・・・
「・・・気の毒ですが、私たちには通じませんよ?」
「な、何故だ!!!なんで・・・!!」
クズ王太子は何度も呪いの力を放つが、私が簡̀単̀に̀貼った結界で霧散する。
「・・・何度も言わせないでください、オ̀バ̀ド̀王̀太̀子̀殿̀下̀。聖女に勝てるのは悪霊ぐらいですよ?」
「っ・・・!だが、俺は悪霊の王に力を分けてもらった!この俺が、この俺が負けるわけ・・・」
悪霊の王?
ロマーノが悪霊の王だと思っていたのに、違かったってこと?
「・・・黙りなさい」
後で詳しくその内容を聞くために、大量の魔力を当てて気を失わせる。
「フィオナ、大丈夫?」
「はい、皇太子殿下。・・・この罪人をお願いします。」
「わかった。」
「後で聞きたいことがあるので、会えるようにしておいてもらえますか?」
「・・・ああ。」