第十一話
私の後ろ・・・正確には真後すぐ近くに立っていたのは、
「挨拶が遅れました。皇̀太̀子̀殿̀下̀、お会いできて光栄です。私は・・・」
「ベラティア公女。これから同級生としてよろしく」
(皇太子ロマーノめ・・・!)
「・・・ええ、こちらこそ。私も昨日編入したばかりで、何も知らないに等しいですが、 公̀爵̀令̀嬢̀と̀し̀て̀サポートさせて頂きます」
「・・・ああ。頼んだ」
なんでロマーノいるのよ~っ!!
だって、入学は来年度の予定だったんでしょ!
それなのにどうして・・・。
「ああ、どうやら僕の席はここのようだ」
と、ロマーノが私の前の席を指さす。
(ははっ、なんでこんなに席近いんだろ。関わりたくないのに、なんで・・・)
「・・・よろしくお願いします」
「・・・嫌か?」
上目遣いをして捨てられた子犬の様な顔をしたロマーノに呆れる。
「・・・皇太子殿下と席が近いだなんて、身に余る光栄です」
「ちょっとロマーノ、ずるいわ!私がフィオナの近くに座りたいわ!交換してくれるよね?」
(ア、アメリア様!なんて助かる・・・!)
「・・・はい、姉上。」
(あっさり席を譲った。弱みでも握られてる?)
「アメリア様、ありがとうございます。助かりました」
「気にしなくていいわ。脅してあるから、困ったら言ってね」
「あ、ありがとうございます・・・」
やっぱり。どうやって脅したのか気になるわね。
「おかえりなさいませ、フィオナ様。」
「明日の準備はいつからするの?」
「明日のお昼頃からです。皇族主催なので、気合いを入れないとですね」
「そんなに派手にしなくていいわ。変なのに絡まれるのも嫌だし。」
「かしこまりました。ですが、明日はフィオナ様が聖女であることを公表する夜会です。目立つのは必然だと思いますが。」
「・・・そうだった。じゃあ、派手すぎず地味すぎず、落ち着いた雰囲気でお願いしていい?」
「はい。」
すっかり忘れていたが、明日の夜会は、私が聖女であることを公表するための夜会だ。
目立ちたくないなと思ったけど、仕方ない。
お父様が鋭い視線で一掃してくれるだろう。
世間を甘く見ていた私を恨めしく思うのは、しばらくあと。