第一話
聖女と悪霊 の続編です。
そちらを読まなくても大体はわかると思いますが・・・。
「んっ・・・」
目が覚めると、煌びやかな天井が映る。
「よし、成功した・・・!」
わたしはフィオナ。
公女で、年齢は10歳ぐらい。
前前世から聖女で、いろいろあって今世で愛する人とようやく結ばれることができる。
「とりあえず、メイドを呼ぼうかしら」
呼び出しベルでメイドを呼び出す。
「フィオナお嬢様、おはようございます」
「おはよう。質問があるんだけど、いいかしら?」
「構いませんよ。なんでしょうか?」
「わたしって、名前と年齢なんだっけ?」
「フィオナ・ベラティア様で、もうすぐ10歳になられます。」
「ありがとう。じゃあ、朝食の準備をお願い」
「かしこまりました」
今世は、ベラティア公爵令嬢ね。
メイドの態度的にも、今までが荒れていた感じもなかったし、いい出だしじゃないかしら。
でも、一番の問題は・・・愛する人、ロマーノに接触すること。
ロマーノの性格的には、夜会とか参加しなそうなタイプだから話すこと自体が大変ね・・・。
でも、今世の情報が全くない。
公女の肩書きを有効活用して情報収集しようと今後の計画を立てる。
「フィオナお嬢様、お食事をお持ちしました」
「ありがとう」
とりあえず今日は、聖女の力があるか確認するのが第一目標。
食事を終わらせ、部屋に1人きりになる。
「まずは、魔力の確認ね・・・。」
手のひらに魔力を集め、天井に向けて放つと、めきめきと天井が壊れる音がしだす。
音がした瞬間に結界を貼り、治癒魔法の応用で天井を直す。
「・・・できた!聖女の魔力の方も大丈夫ね」
さて、次はどうしようと考えていると、扉を壊しそうな勢いで叩かれる。
「フィオナ、フィオナッ!大丈夫か?!」
何があったのかしら?
「はい、大丈夫です」
許可を出した瞬間、扉が音を立てて勢いよく開き、男の子がわたしに抱きつく。
「フィオナっ!会いたかったよぉっ・・・」
わたしに抱きついてきたのは、前前世から愛している人物・・・前世までは悪霊、今世は皇太子のロマーノ。
彼が人間になってからの金髪と薄いピンクの瞳は変わらず、ぎゅっと小さくしたような感じ。
彼のことはもちろん知っているけど・・・いたずらしようかな。
「あの・・・どちら様ですか?」
「フィ、フィオナ、覚えてないの・・・?」
「初対面のはずですが・・・。」
ロマーノが、効果音が聞こえてきそうなほど落ち込んだ。
「皇太子殿下!大切な娘に手を出すだなんて、いくら殿下でも許されない所業です!」
「あ、お父様!」
この人がベラティア公爵ね。
娘、というキーワードですぐに判断がついた。
「公爵、違うんだ!フィオナは前世の・・・」
「お引き取りください。魔法で転移してきたようですが・・・。陛下に報告しなくては。」
「チッ・・・。フィオナ、必ず思い出させるから待ってな」
「・・・」
ロマーノはありきたりでかっこよくもない台詞を吐いて転移していった。
・・・というか、人間になるときに魔力を失ったはずなのに、なぜ魔法が使えたんだろう。
「フィオナ、大丈夫?!皇太子になにかされていないか?」
「いいえ、なにも・・・ってお父様!怪我をされています!」
「ん?・・・ああ、本当だ。でも、これぐらいかすり傷だから気にするな」
「でも痛そうです・・・。かわいそう・・・」
「フィオナ・・・っ?!なんだ、この光は!」
嘘泣きして魔力を流し、金色の煙を出す。
すると、公爵の傷が癒え、無くなった。
「フィオナ、この魔力って・・・」
「わたしも驚いています・・・お父様の傷が消えるだなんて・・・」
「フィオナ、今日は用事はあるか?」
「ないですが・・・?」
「神殿に行こう」
と、お父様に連れ出されて、急遽魔力診断をすることになった。
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