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白い海辺


 干からびていきます。ここは打ち上がったクジラの死体の上。死体の表面の海水が揮発して寄生虫の体も。

 でもこれで終わりです。後は腐っていくだけです。死体が膨らみ、柔らかい部位が溶けていき、最期には骨が残り、風化して痕迹を誰も感じなくなっていきました。波の音が聴こえるのみです。

 死体が放つ臭いも、海辺の中にある違和感も波と風の間に消えていきました。ここにはもう砂と空と海があるのみになりました。もし砂の中にクジラの骨の欠片が入っていても、空のなかにクジラの臭いが溶けていても、海のなかにクジラの肉が漂っていても、誰もがそれをそれだと思わないのです。


 明るい森の向こう側に白い海辺がありました。ただ火山の破局的な噴火によって黒い海辺になりました。黒い浜辺の上で海の向こうから空がわれました。少しだけ誰も知ることのないくらいわれました。誰にも聴こえない声がどこかに響いたかもしれません。 

 本当はわれていないのかもしれません。いないのかもしれません。しかし波の音と風の音が響きました。少しだけ。ほんの少しの間瞬く間に消えました。

 

 


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