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ボイスリアクト  作者: 夕村 奥
第四章
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魔人

「海中都市ファートルにはどんな店があるのでしょうかオリビアさん。新しいアイテムを揃えたいですね。危険なモンスターに遭遇したとき、うまく対処したいです」

海中都市についてあまり知らない智也はよく知っているオリビアに尋ねた。

「武器ショップが多いですね。武器屋ヌタートが有名です。しかしその武器屋は効果です。庶民派な武器屋もあります。しかし武器屋ヌタートの店主ヌタートは凄腕の武器職人で素晴らしい武器を多数そろえているのです。攻撃力1000を超えるものもあります。攻撃力1200のヌターターマスターソードはこの海中都市最高の剣で、これに勝る剣はこの海中都市に存在しないと言われています。ただし金貨100枚以上するので今の私には買えません。サルトさんなら買えるかもしれませんが」

「俺はこのサルトアイに決めてるんだ。確かに攻撃力は高いかもしれないが、数値だけでは測れないものもある。俺は相棒サルトアイ以外は使うつもりはありません」

「そう思ってました。サルトさんはこの武器を大事にしていますね」

オリビアがサルトの元へ歩み寄り、サルトアイをじっと見つめてそう言った。

「俺はサルトアイを使うことで強くなっている気がするんだ。実際に強くなったが。使い慣れている武器はより相乗効果を生む。俺はサルトアイを使う。あんな攻撃力だけ高い剣や魔剣なんて使うつもりはない」

サルトはそういうと、オリビアがまた海中都市について話し出した。

「昨日言いましたが、海中都市ファートルには祭壇がありまして、様々なスキルを手に入れることができます。例えば攻撃力3倍のスキルなんかも手に入れることができます。しかしそのスキルは強力すぎるので高価なアイテムを無数にそろえる必要がありますが。でも防御力1.5倍のスキルは中級冒険者なら取っている人が多いので、とってもいいかもしれません。必要なアイテムもそこまでレアではないので。また、アイテムを強化することもできます。攻撃力を1.2倍にするのも一般的なものです。私には縁のない話ですが、オリバーは何回かここに来たことがあるみたいなんですが。何をしたのですが?」

「はい。私のロングソードを強化いたしました。防御力1.5倍のスキルを手に入れました」

「頼もしいでしょう私のオリバーは。オリバーは立派な冒険者なんです。私が子供のころから私の盾になってくれています」

「俺もスキルを手に入れることができるのでしょうか?」

「智也さんは何を持っていますか?祭壇には多くの捧げものが必要なのですが」

「俺はとくにはそういうのは持っていません。防御力1.5倍のスキルを手に入れたいです。スキルってオーラが纏い出すんですよね」

「はい。スキルによって色、オーラの範囲が変わります。強いスキルほど範囲は大きくなります。オリバーもスキルを使うときはオーラがオリバーの全身にまとわりつきます。オリバーは様々なスキルを持って

います。しかし時間が限られるのが欠点ですね。だからここぞの時に使う必要があるのです」

「確かに時を選ぶ必要はありますよね。俺にスキルを使えるのでしょうか?」

「智也さんにはボイスリアクトがあるじゃないですか?スキルがなくても大丈夫と思いますが、念には念を入れて防御系のスキルは持っておく必要はあるかもしれません。やはり防御系のスキルでしょうか?」

「はい」

「夕鉱石が4つ、緑鉱石が3つ必要です。一緒にアイテムショップに行きましょうか?多分置いてあると思います。祭壇がある場所はレアで、そこにアイテムショップがあるのもレアです。どちらもある場所はこの海中都市以外には国に数か所しかないです。さあ、一緒に買いに行きましょう」

そのままオリビアが智也を連れて近くのアイテムショップに入った。望みの鉱石は夕鉱石と緑鉱石。入ったアイテムショップには夕鉱石3つはあったが、緑鉱石は置いていなかった。智也は夕鉱石だけ買って、次のアイテムショップに向かった。オリビアと智也がアイテムショップにいる途中、皆は時間を持て余していた。オリビアが衝動的に動く癖があり、他の人にスキルが必要か聞くのを忘れていた。智也は異世界から来た人で大事なボイスリアクターであり、客人なのだから最初に動いていた。パーティーでステータスが低いのは智也、アルフィー、オリビアの3人だ。ファシーは俊敏性が高いのでいざとなったら逃げきれるだろう。それでオリビアはオリバーが守り、アルフィーはサルトが守り、智也は彩子が守る。だが、彩子はこの世界に来てからあまり時間が経っていない。それを考えると理にかなっていることもある。しばらく待つとオリビアと智也が帰ってきた。

「皆さん準備はできましたか?祭壇に捧げるアイテムは持ちましたか?」

「おう」

「はい」

パーティー全員はオリビアと智也がアイテムを揃えているうちに準備は整ったようだ。海中都市は海中にあるだけあって不気味だが、智也や彩子、ファシーやアルフィーはすぐ慣れた。パーティー一行が祭壇に到着したとき、先客がいた。

「おお。このアイテムは呪いの首輪だ」

「お前がつけろ」

「いやお前がつけろ」

「カチン」

「ウボボボボボボボボボ!」

「ここはどこだ!」

呪いの首輪を付けたとある冒険者の様子がおかしかった。冒険者から黒いオーラが漂っていた。

「はは。ここは洞窟の中だな。えらい巨大な洞窟だな。だがそれはどうでもよい。おお、そこに人がいるな。冒険者だな。この洞窟にいる人間を全て食らい、やがて地上にいる人間を食らい、強力になり、以前私が敗れた冒険者ムラセに勝とう。すべての人間を食らえばできるはずだ。たとえ何年たっても必ず倒してやる。待ってろムラセ」

「なんだあの黒いオーラは!?まさか魔人か!?」

「悪の力が人間の内部を侵食してできる魔人。それにあの魔人はステータスの数値が見えない」

「サルトさんでもわからないんですか?」

「あれはまさか都市を何個か消滅させた高位の魔人だな。俺は初めて見たぞあんな魔人」

「じゃあ強そうなお前から食おうかな」

魔人がそう語った瞬間サルトの真正面まで一瞬で移動し、サルトの胸を貫こうとした。

「キイイイイイインッ」

間一髪で魔人の攻撃を防いだ。サルトは後ずさりをした。

(なんて思い攻撃なんだ......)

瞬間、サルトの足を払い、転倒させた。

「ドンッ」

「じゃあな、お前」

転倒させられたサルトは身動きできずに、殺されると思われたが、強風が魔人を襲った。風がどこから吹いたと思ったら、そこには一人の冒険者の姿があった。

「まさかお前、冒険者ムラセか!?あの時どうしても勝てなかった。今勝てるわけがない。よし、まず逃げてなるべく早く強くたくさんの人間を食らい、やがて冒険者ムラセにリベンジしよう」

ムラセがサルトのほうを向いてる途中、魔人は姿を消した。ようにほとんど人は見えた。だが、冒険者ムラセには通用しなかった。

「ドンッ」

「いつの間に俺に追いついたのか、やはり化け物だなお前。このままではまた倒されてしまう。それに今度は完全に消し去られてしまうかもしれない。くそ!」

次の瞬間、魔人は破壊光線を洞窟の天井に当て、海中都市を水没させようとい試みた。だが、冒険者ムラセは交戦を発射させたところにピンポイントにウインドウォールを出現させ。水没は免れた。その後、一瞬で洞窟の出口に魔人は向かったが、一瞬で追いつかれた。

「何!?なんて速いんだ。俺は人間の最大ステータスを超えているんだぞ。2300を超えているんだぞ。人間に倒せる存在ではないんだ。ちくしょおおおおおお!」

魔人は素早く気功玉を全方向に連射したが、ウインドウォールで魔人の全方向を覆った。

「逃げられない。うおおおおおおお!」

ウインドウォールを何度も手でたたくがまったく傷がつかない。ここまで差があるのか、そう魔人は感じた。

「どうやったら奴から逃げられるんだ。なぜ冒険者ムラセがここにいるのか。ここで復活したのは運が悪かったとでもいうのか!」

追い詰められた魔人は攻撃力4倍、俊敏性3倍の超強力のスキルを使った。

「はああああああああ!」

「ここまで追い詰めたのは称賛に値する。だが、これで俺のステータスは確実に2400を超えた。もう人間にダメージを与えられることはあり得ないんだ

魔人から真っ黒いオーラが纏う。次の瞬間、ムラセに気功玉の集中砲火を食らわせた。

「ドドドドドドドドド」

ムラセは集中砲火をウインドウォールで受け止めた。そのうちに魔人は海中都市の出口、いわゆる洞窟の出口に向かった。俊敏性が3倍になっただけあって。前に比べて圧倒的に早くなっていた。

「ほう、やるじゃないか。だが」

「ビュッ」

魔人が猛スピードで飛び続けるが、一瞬で冒険者ムラセに追いつかれた。もう後がなくなった魔人は捨て身の攻撃をムラセに仕掛ける。

「うおおおおおおおお!」

「ドドドドドドドドドド」

「ハアアアッ......ドオオオオンッ」

しかし魔人の攻撃をはすべて徒労に終わった。どうしても勝てないと確信した魔人は最後の手段を使った。2次形態に変身するのだった。だが2次形態はスキルよりも限られた時間しか保っていられないのだ。

「はああああああっ」

先ほどの2倍ほどのスピードでムラセから逃げるが、これもまたムラセに一瞬で追いつかれた。

「よう」

「早すぎだろ。だが攻撃力も2倍になっているんだ」

魔人は自慢げに語ると、ムラセに一撃加えた。勝ったと確信した魔人は、海中都市内の人間に目を向けた。だがそこには誰もいなかった。

「ここだ、魔人」

「なんだと!」

そこにはムラセの姿があった。確かに一撃加えたはず。緑色の壁は展開していなかった。そうなっているんだ。と魔人は考えていた。

「当てたはずだ。それもスキルで4倍、2次形態で2倍。それに加えて最大限の一撃をくわえたはず。前にもあったなこれ。当たったはずで当たっていなかったみたいなの」

「俺は当たるはずの攻撃を当たらないようにする能力を持っているんだ。ただ完成はしていない。ただ、攻撃が当たる頻度が低くなればいいなと思って身に着けた。これは俺の能力の一つだ。

「くそ。一発当てたら勝てるかもしれないと思っていたのに、その望みも消え去ったということか」

「じゃあ、今度は俺の番だな」

ムラセはそう言うととある武器をボイスリアクトで出現させた。それは攻撃力1600の絶零度だ。対象を凍らせる上にダメージも与える強力な武器だ。

「行くぞ」

「ギイイイイイイイイインッ」

「カチカチカチカチ......」

ムラセの攻撃を受け魔人は完全に凍ってしまった。そのまま数刻おいて魔人が弱るのをムラセは待った。そしてムラセは離脱魔法を試した。弱っている魔人から魔人の本体を離脱させる魔法だ。もちろんこれもボイスリアアクトによるものだ。冒険者ムラセは様々な能力を使いこなすことができるのだ。武器を作ったり、アイテムを生み出したり、人間をもとの状態に戻したり。今回は魔人本体を離脱させて、本来の状態に戻す能力をムラセは使った。ボイスリアクトは条件の下で能力を使える場合が多い。また、能力を使えるかは人によって大きく異なる。ボイスリアクトはとても奥が深い。ボイスリアクトが具体的にどういうものかを知っているのは一部だろう。その中にムラセが入っているのかはわからない。徐々に離脱させる準備は整い、時が来た。

「元なる姿に戻りたまえ残したまえ人心を」

ムラセが唱えると魔人の本体が出現し、ムラセのウインドブロウで木っ端みじんに消し去った。サルトは冒険者ムラセと魔人との戦いを見て感動していた途中からは洞窟から脱出したのだが、このバトルは頂上決戦といってもいいほどの戦いぶりでサルトはいつかこの領域までたどり着きたいと決心するのと同時に、冒険者ムラセに助けてもらったことは絶対に忘れないと心に刻むのであった。結局、取りつかれていた冒険者は無事だった。祭壇で何をしていたかというと、強さにあこがれて負のアイテムを使って近道をしようと試みていたらしい。魔人出現にも関わらず、全員無事だったのは冒険者ムラセがいたからだろう。智也は冒険者ムラセを見て、とても興奮していた。いつか会いたいと願っていた姿がそこにあったのだ。

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