不安
レグレド荒野は様々なモンスターが生息するエリアで、特にバンドーロとタリュードが有名らしい。俺はどちらも知らないが、ステータスが俺よりはるかに高いようだ。だが俺はそれで挑戦しないのは嫌だ。俺は進み続けなければならない。どんなモンスターがいようともあきらめない。それに俺には心強い仲間もいる。それにボイスリアクトだってある。俺と彩子だけの時のパーティーとは違い、仲間も増えた。ステータス1800程度のモンスターはなんてことない、と思いたい。でも俺も防具を手に入れた。アルフィーには防御力の高いローブを、俺には防御力の高い竜のうろこで作られた防具を入手できたから前よりは無謀なかけではない。だが、この世界はどうなるかわからない。予想だにしない強力なモンスターが出てきたり、モンスターが予想だにしない攻撃をしてきたりするかもしれない。準備をしすぎるにこしたことはない。俺にもモンスターが出現したときの対策はしてある。まず、バンドーロが出てきた場合なるべく離れて、サルトさんやオリバーさんに任せる。複数のバンドーロが出てきた場合も同じだ。無論、アルフィーやオリビアも同じだ。バンドーロがどれほどの遠距離攻撃をしてくるかわからないから、離れていても攻撃を食らう場合もあるだろうが、幸い攻撃力はそこまで高くないらしいから、何度も攻撃を食らわなければいい。レグレド荒野はバンドーロやタリュード以外にもモンスターは出てくるらしい。俺は分からないが、オリビアは知っているらしい。だが恐らく恐れるほどのも相手じゃないみたいだ。俺はこの荒野でどんなモンスターに出会うだろうか。レグレド荒野は荒野エージェイルと同じくらい危険らしいが、荒野エージェイルに出現するドラムスコーピオンよりもレグレド荒野に生息するバンドーロのほうがステータスは高い。だったらレグレド荒野のほうが危険度は高いと思うんだが、なぜか危険度は同じくらいらしい。俺は万全の状態でレグレド荒野にパーティーの中とと一緒に入る。彩子とオリビアとアルフィーと。結局、2種以外のモンスターの詳細は分からなかったな。
「すみませんオリビアさん。レグレド荒野はバンドーロとタリュード以外のモンスターは出るのでしょうか?」
俺は荒野で前を歩いているオリビアに聞いた。
「はい。バヴァやホワイトリザードが有名です。それぞれステータスは730と970です。今のパーティーなら大丈夫だともって話しませんでした。しかしハヴァはごくたまに進化することがありましてギガンドバヴァというモンスターに変身します。それはステータスは1130と大幅に増えますが、今のパーティーなら危険が少ないでしょう。ホワイトリザードは単体で生息するので群れを作る心配はないでしょう。しかしやはりバンドーロやタリュードは危険ですね。私や智也さん、アルフィーさんのステータスと1000程度離れているので。やはりこの2体に注意しておくべきでしょう。サルトさんもいますが、ステータスが1000以上離れると危険ですから」
「この世界ってどこも危険なんですね」
「荒野とかは危険ですね。それに盗賊なんかも多いですし。街道なんかは商人や冒険者を狙って襲撃するみたいですし」
「すみません俺のために。俺が言わなければここまでしなかったでしょう」
「いいえ。私は色々なところを旅して生活しているのです。その道中にあなたと出会い、あなたがボイスリアクトの所持者だと知りました。私はとても運がよかったのです。私はあなたのためにならどんなことだってするつもりです」
俺は驚いた。ここまで俺のことを考えていたなんて。おれなんてただの凡人で食べ物を生み出すことしかできないし。いつか立派なボイスリアクターになっていると意気込んでいるが、結局どうすればなれるか見当がつかないし。この世界を少しずつ知っていければ糸口はつかめるだろうけど。そういえばボイスリアクトってどんな人とどんな生活をするかでどんな能力を発揮できるとか言ってなかったっけ。どんな理屈なのだろう。人と生活を共に知るだけで能力が決まっていくとか。俺は創造値はすごく高かったのを覚えている。もしそうだとしたら俺はすごいボイスリアクターになれるのかもしれない。普通はステータスが高いほど創造値も高くなるようだが、俺はステータスが低い。なぜなのだろうか。俺にはわからないがいつか、すごいボイスリアクターになることができればいいな。そして混とんと化したこの世界の助けになれたら。俺はそれだけでは足りないのかもしれない。やっぱり俺はこの世界観を構築したい。誰も倒せない強力なモンスターを倒してみたい。そして混沌と化したこの世界を救いたい。俺は強欲だからこんなことしか考えられないが、今俺はそう考えている。彩子はどう考えているだろうか。俺が世界を救いたいとか言ってついてきてくれるのだろうか。俺は根拠のない自信はあるが、なぜなのかはわからない。
いつもおr絵に何ができるのか考えるのだが、結局わからずじまいだ。だが俺はやり切って見せる。
必ず。
智也らパーティーはレグレド荒野を進んだ。まだ進み始めて少ししかたっていないのだが、敵はまだ出てきていない。だがもちろん警戒をしている。急に襲ってくるようなモンスターが隠れる場所はないが、モンスターが襲ってくる可能性を鑑みてが見て、あたり周辺を見ている。すると次の瞬間、モンスターがオリビアめがけて飛び込んできた。
「ガウッ」
オリビアにモンスターの攻撃が当たろうとしたが、オリバーがオリビアを守った。オリビアを襲ったモンスターはホワイトリザードだった。ホワイトリザードはモンスターの中ではおとなしいのだが、今は獰猛な様子だった。すかさずオリバーがロングソードでホワイトリザードを攻撃した。
「ギイインッ」
「ガウッ」
オリバーの剣はホワイトリザードに直撃し、一撃で戦闘不能状態になった。
「大丈夫ですか、お嬢様」
「オリバー、ありがとう」
オリビアは嬉しそうににオリバーを見る。するとオリバーは真剣に答えた。
「お嬢様に何かあれば私が悲しみますので」
オリバーは真剣そうにこうつぶやくと、智也は不安そうに問いかけた。
「オリビアさん結構危ないところでしたよ。一番前を歩くんのはやめませんか」
するとオリビアは申し訳なさそうにこう言った。
「そうですね。じゃあオリバーがそばにいれば大丈夫なんですよね」
「そうですが」
「じゃあオリバー。私をそばで護衛しなさい」
「かしこまりました」
オリバーは従順そうに答えると、オリビアは満面の笑みで再び前を歩きだした。
再びオリビアがを歩き始めた。智也とアルフィーはサルトとオリバーに囲まれた場所におり、オリビアはオリバーに守られながら一番前を歩いている。智也はどうやら一番前を歩いているオリビアを気にかけている。もちろん智也自身も自分自身がどうなるのか不安だが、オリビアは一番前をあまり離れていないとはいえ歩いているのだ。もし俊敏性が高いモンスターに襲われればどうなるのか。オリバーがそばについているとはいえ、不安なのだ。そんな風に考えているうちに皆は何時間か歩いていた。何時間か歩いているうちに皆は疲れがたまった。
「そろそろ休みましょうか。皆さんも疲れたでしょう」
オリビアがそう言うと、アルフィーはうなずいた。荒野を数時間歩いて疲れてへとへとでのども乾いたので智也は皆の前でボイスリアクトを使おうか迷った。結局何分か悩んだ末、水を出すのを見せようとした。
「クリエイト・・・・・・ウォーター」
智也の前に一本の水が出てきた。この光景を見たみんなはとても驚いた。水が出現したのだ。しかもペットボトルの容器に入れられていたので皆一度も見たこともない者もいたのでびっくりした。
「おい、それは何だ。収納魔法か?」
「いや。俺はボイスリアクトを持っているんです」
「えーーーーーーー!!」
「あの、ボイスリアクト。あの国に10個しかないとのうわさの?」
サルトはとても驚いた。オリバーも驚いていた様子だったが、サルトほどではなかった。ウォーラーたち王国騎士3人組も驚いていた。
「でもこれが盗賊にばれたら襲われるかもしれないぞ。いいのか俺たちに教えて」
サルトや王国騎士たちは知ってはいけない秘密を知ったようで、なんとなくしまりが悪い様子だった。
「いいですよ。皆さん俺たちをここまで守ってくれて感謝しているんです。俺からの恩返しということで。それで、このことはなるべく内緒でお願いしたいのですが?」
「いいですよ」
「いいですよ」
「はい」
「本当ですか?」
智也はひとまず安心し、パーティーの皆は再び荒野を歩きだそうとしたとき何かが近づいてきた。皆はモンスターの気配がして、心臓がバクバク動く。瞬間、2体のバンドーロが智也たち向けて歩いてきた。体長が5メートルほどの巨体が、智也たちに近づいてくる。バンドーロは智也らと20メートル離れている場所から牙を地面から出現させオリビアにそれが刺さろうとしたが、オリバーがオリビアを抱き上げ、宙を舞った。するとサルトがサルトアイを大きく振りかぶり、剣の化身をバンドーロに飛ばした。
「ドオオオオオン」
大きな音が鳴り、バンドーロにサルトアイの化身が直撃した。だがバンドーロは防御力が高いモンスターだ。少しひるんだが。まだ2体はぴんぴんしている。
「これならどうだ!」
サルトがもう一度剣を大きく振りかぶって、バンドーロめがけて4回のバーンスラッシュをお見舞いした。
「ドオオオオオオオン、ドオオオオオオオン、ドオオオオオオオン、ドオオオオオオン」
この攻撃で一体目のバンドーロが倒れた。2体目のバンドーロはまだサルトの攻撃を受けずに、牙を地面から突き出した。今度はアルフィーのほうへ突き出したが、サルトが間一髪でアルフィーに伸びる牙を切り倒した。
「大丈夫か、アルフィー」
「はい、大丈夫です」
「じゃあこれで終わらせるか!」
次の瞬間、サルトからオーラーが纏い出し、一匹のバンドーロめがけて剣を振りかぶった。瞬間、サルトが剣の化身をバンドーロ向けて飛び出した。
「ドオオオオオオオン、ドオオオオオオオン、ドオオオオオオオン、ドオオオオオオン」
すると2体目のバンドーロも戦闘不能状態になった。
「ふう、なんとか倒せたぜ。アルフィー、無事か?」
「平気だよ、サルトさん」
「おお、お前が無事ならよかった」
サルトが2体のバンドーロを倒し、再び智也らパーティーは荒野を歩きだした。歩き出して数時間が経った。智也は水を何本かだし、皆に飲ませた。皆はうれしようにしていた。こまめな水分補給は大事だからだ。
「ありがとう智也。助かったぜ」
サルトは智也に感謝した。智也は食事も自分が知っているものは出せるので、皆にそれを見せた。
「クリエイト・・・・・・ミートスパゲッティー」
次の瞬間ミートスパゲッティーが皆の前に出現した。智也は一つ疑問に思った。二つ以上出せるのかだ。智也はひとまずそれを試してみた。
「クリエイト・・・・・・ツーミートスパゲッティー」
次の瞬間、皆の前に二つのミートスパゲッティーが出現した。皆はその光景に気分が高鳴った。
「すごいな、智也。道中の食事はお前がいれば安心だな」
「そうですよ!智也さんはすごい人です!」
オリビアはテンションが高まっている。きっと智也がボイスリアクトというアイテムを使いこなしていることがうれしいのだろう。それに智也が出す食事はおいしいのだ。
「いただきます」
皆が食事をしようとするとき、ファシーが智也に注文をする」
「私はハンバーグがいい!」
「お前の分出したんだが。贅沢言うなよ」
「智也だっていつも贅沢言うじゃないか!?」
「そうか?」
「そうだぞ!」
「ならこのスパゲティー全部食べたら出してやる」
「わかった!」
ファシーは全力でスパゲッティーを一瞬でたいらげた。ウォーラーよりも早く完食した。
「食べたぜ、智也」
「口の周りにソースついてるぞ」
「これは!?_」
「ソースだ」
「ただ食べただけなのに、このスパゲッティーすぐソースがつくのだな」
「全部食べたかー!?じゃあ出すぞ」
「クリエイト・・・・・・ハンバーグ」
智也とファシーの前にハンバーグが出現した。それを一瞬でたいらげたファシー。食べる速さはウォーラーよりも早い。パーティーの皆は食事をした後長時間休憩し、再び荒野を歩きだした。長い長い荒野の旅はまだ始まったばかりだ。




