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ボイスリアクト  作者: 夕村奥
第三章
36/42

俺は昔からあまりいい人間ではなかった。いつも夢物語ばかりをはいてできもしないことをやろうとしたり、人と違うことがステータスだと思ってたりと俺は情けない人間だった。今もそうだ。遠くから俯瞰してみるとやはり俺は変なところがある。でもだからと言って世界を救うことを諦めるわけにはいかない。俺は昔とは違うことがある。それはボイスリアクトというものを持っていることだ。それは普通の人は決して能力を発揮できないというもので、俺には適正があった。それに俺はこの世界の異世界人なのだ。だからこの世界の役に立ちたいと思っている。先日、俺は創造値を測定した。結果は俺の通りというべきか違うというべきか、あの冒険者ムラセと同じくらいの数値だったのだ。しかしボイスリアクトはどのような能力を備えているのか。聞いたところによれば高ければ高いほど高いステータスを持つのと、これまでにどんな暮らしをしてどのような人と出会ってどのようなことを志しているのかが関係しているという。俺はそれを聞いてまったく意味が分からなかった。だが冒険者ムラセよりも同じ、もしくは高い創造値を持っているのは確かだ。いつかこの力でパーティーの仲間や彩子の役に立ちたい。そして世界で活躍する冒険者になりたい。そういえば中央ギルドの店員は夢を持っているかとか言ってたな。俺には大きな夢がある。それはすごいボイスリアクターになり、世界を変えることだ。今の俺にはその力はない。だがいつかは世界を変えてしまうほどの力を持つ可能性はない。だから俺は世界のためになるすごいボイスリアクターになるのが夢なんだ。だがこれからどのような訓練をすればあのようなボイスリアクターになれるのだろうか。冒険者ムラセは短期間で実力を急激にに伸ばしたと聞いたことがある。俺もできるのだろうか。できなくても俺はやるだけだ。これまでの生活の中で俺はなりたい自分が少しずつ分かってきたような気がする。彩子は俺についてどう思っているのだろうか。俺は彩子にできる人間だと証明したい。彩子はありのままの自分を認めてくれるのかわからないからってのもある。でも俺は彩子と旅を通して少しずつ分かってきた。彩子は俺のことを少しは信用してくれているような気がするんだ。本当のところは分からないが。俺はいつかすごいボイスリアクターになっていつかきっと彩子を驚かせて見せる。そして世界を救って見せる。俺は今宿にいる。数日間大都市ウェーゼで休養がてら観光をしている。ウェーゼの王国図書館でボイスリアクトの事を調べてみた。ボイスリアクトは本人の能力とボイスリアクトに備わっている能力の二つを一つもしくは二つ使って能力を発揮するものらしい。特に本人の能力の比重がかかっているほど高い能力を発揮できる場合が多いらしい。それにボイスリアクトは持っているスキルが能力を阻害する場合が多いらしく、また逆に発揮する場合があるらしい。また、世界の理解度が能力を大きく発揮するのにかかわっているらしい。俺はこの世界のことをあまりよく理解していないのでもしかすると能力をよく発揮できない可能性がある。でも今から俺が理解すればいいだけだ。いつかこの世界を理解し、世界に役立って見せる。俺たちはボイスリアクト以外にも気になったものを調べてみた。一つ目はステータスのことについてだ。ステータスが高いほどこの世界で戦うときだったり有利に働くのだが、もっと深いところにまで踏み込んで考えている本を見つけた。ステータスはこの世界の基本概念でステータスが高いほどこの世界でモンスターに襲われたときだったり進みやすくなる。だが以外にもステータスが高いほど恩恵があるのがこのゲームリフレクターの世界らしい。ステータスが高いほど宿に泊まることが簡単になったり、関所を通るときにてつづきがかんたんになることがあるらしい。またレベルが高いほど、施設に入ることができるようになったり、ステータスやレベルが高いほどもちろんのことギルドから指名依頼が来たり、スカウトされたりする。また、ステータスとレベルはちょっと意味が違う。ステータスは純粋に戦闘能力でレベルはベテラン度合いといったものだ。ステータスが高いからってレベルが高いということはなく、逆もしかりだ。二つ目は、この世界は以外に危険だということだ。俺が初めてこの異世界に来た時、人の様子がおかしかった。俺のもと置いた世界とは何かが違った。これは一体どういうことなのか、伊良部てみたが詳しいことは書いていなかった。だが一つだけ気になった文言があった。ゲームリフレクターの世界は現実世界をより演繹的に欲求的表現した場だということだ。おれにはその意味するところは分からなかった。欲求的にってなんだ。演繹的にってなんだ。俺にはその文章の意味するところは分からなかった。だがこの世界は俺が考えるよりも難しいものだと知った。俺は王国図書館で調べ物をしたのち宿に戻った。宿にはご飯が用意してあった。そんなことしなくても俺が料理を出せるというのに、オリビアやウォーラーたちはお構いなしに俺と彩子をテーブルに誘導した。

「それでは皆様いただきます!」

オリビアが旺盛に号令をした。

「いただきます」

俺たちはこの世界に来てからずいぶん時間が経った。初めにいきなり転移させられて驚いた。だが少しずつこの世界のことを知って、ヘンリー、オリビア、オリバー、ウォーラーたち王国騎士3人、サルト、アルフィー、ファシー、旅の道中ではたくさんの人やモンスターと出会った。俺はこの世界に着て悪いことだらけだったわけではない。彩子と旅をできたこと。いろんな人と出会ったこと。俺はこの世界に来ていやなこともあったけど楽しいこともたくさんあった。だからこの世界に来て悪くはなかったと心の底から思っている。

「このレンモおいしいな。黄色い皮と果実。酸っぱいけど甘くておいしい」

「レンモって?レモンじゃないのか?」

俺は気になってオリビアに聞いてみた。レンモってレモンと何が違うんだ?

「レモンが何かは存じ上げませんが、レンモは東方の国の名物なんですよ。私もたまに食べますがとてもおいしいと思っています」

「俺は少し酸っぱいのだが俺の知っているレモンとはちょっと違うな。レモンはかぶりつけないほど酸っぱいもので唐揚げにかけたりするんだ」

「唐揚げ?」

「この世界に唐揚げってないのか?」

俺はこの世界に唐揚げがないことに驚いた。

「でも唐揚げってどこかで聞いたことありますね。どこかで」

「本当ですか?俺の知っている食べ物なんですけど、揚げ物なんです」

俺は精一杯説明した。するとウォーラーがちょっと気になっている様子だった。俺はもしかしてと思った。

「揚げ物で智也の知っているものか。俺の店に置いてあるかもしれない。ちょっと調べてみるか」

ウォーラーは手書きのメモをポケットから出し、確認した。するとウォーラーが大きな声でこう言った。

「おう、唐揚げって鳥を揚げたものか。知ってるぞ。なんか異世界人が俺に話しかけてきてくれた時教えてもらったんだ」

「本当ですか?」

俺はウォーラーが俺の元いた世界の食べ物を知っていることを知って驚いた。だがウォーラー以外が知っているようではなかった。

「揚げ物はあるけど唐揚げはなにかは知らないね」

「ちょっと話はそれるが二人は何しに行ったんだ?」

ウォーラーは俺がどこに行ったのか興味があるようだ。

「俺と彩子は王国図書館に行ってきたんです」

「そうなのか」

オリビアはウォーラーのほうを向いて話を聞いていたが、みんなのほうを向いた。

「皆様。雨が降ってきましたね。今日の催しは中止のようです。残念ですが」

俺はどういうことかオリビアに聞いたがまったく返答がない。なぜなのかわからないが、何か隠しているに決まっている。なんだ。何をしようとしているのか。パーティーのみんなだから変なことはしないと思うが、気になる。教えてくれ、と思いながら俺は食事をたいらげた。

「ご馳走様でした」

俺たちはテーブルの上に置かれた食事をすべて食べ終えた。俺は少々おなかがすいたので結構食べたが、彩子はそんなに食べなかった。

「実は今日、二人のために外で催しをする予定だったのです。でも雨が降ってきたので中止ですね」

オリビアがそういった直後、雨が止んだ。

「ちょうど雨が止んだようです。ではお二人さんこちらに来てください」

俺と彩子は終始口が開いていたが、同時に楽しみだった。一体何があるのだろうかl、と。

「では、お誕生日おめでとうございます!」

俺と彩子はきょとんとしていた。この世界にも誕生日という概念があるのか。だが俺たちは大人だし誕生日とかはいらないと思っていたのだが、オリビアはそういうところもあるんだな。いや、オリビアが計画したのではない間の知れない。ウォーラーは違うだろうし、オリバーも催す様には感じない。ではやはりオリビアが?雨は見事に上がったいた。

「なぜ外に出て?」

「これからある催しがあるのです」

俺たちはしばらく待っていたが、すると立派な馬10頭以上が俺の前を横切って行った。

「これは何ですかオリビアさん?」

「馬は自由と力の象徴で智也さんと彩子さんが自由にそして立派に羽ばたいていくのを願って考えました」

「パカッパカッ…」

通り全体が明るくなっている。何頭いるのだろうか。数えるのが面倒になってくる。でも俺と彩子が異世界からの来場者ということでオリビアが考えてくれたのかもしれない。

「パカッパカッ」

俺たちは次々に横切る馬たちをぼーっと見つめていた。そして通りは普段よりずいぶんと明るくなっていた。

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