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ボイスリアクト  作者: 夕村奥
第三章
33/42

正義

「敵は回復能力を持っているそれも強力な。気をつけろ」

サルトが駆け付けた冒険者にこうつぶやくとモンスターに向かって攻撃の姿勢をとった。エリはサルトのヒットポイントが大きく減らされていることを感知するとヒールをサルトに対してかけた。その後、サトが攻撃魔法フレイムをモンスターに向けてはなった。

「うおおお!」

サトの手の上から火の玉が放出されモンスターに覆いかぶさった。

「ボオオオオオオオォォ」

モンスターは少しもひるまなかった。モンスターの防御力はステータス以上に高いようだ。下位のファイア、中位のフレイム、上位のバーニングと3階級に分かれている攻撃炎魔法。中位なのである程度のダメージもあるし、超級冒険者でステータス2020もあるのにもかかわらず、聞いたそぶりを見せなかった。これは強敵だ。あの剣豪サルトでも苦戦しているのに、ステータス50離れているサトでは太刀打ちできる相手ではないのだ。

「俺が行く!」

サルトがモンスターの隙を察知して攻撃を仕掛けた。

「ギイイイイイイイン!」

サルトは全力で攻撃を仕掛けたが少しひるむだけで倒れるそぶりを見せなかった。直後、モンスターは回復し、サルトやサトが与えたダメージを即座に打ち消した。

「なんて奴だ。サトも超級冒険者なんだろ。超級認定を受けているからな。なのにビクともしないなんて。俺がこれまで戦ってきた中で最も強い奴だなこいつは。俺ははこれまでにこれほどのモンスターと戦ってきたことはあるが、一人で戦ったことはなかった。お前たちが駆け付けてきてくれたこと感謝する。これからは俺たちの番だな。こんなに仲間がいるんだ。負けるはずがない。そうだろ、みんな」

サルトが嬉しそうにしている様子が仲間の全員に伝わった。超級冒険者5人と智也がいればあのモンスターを倒せるかもしれない。

「この中で補助魔法を使える奴いるか?」

「はい、使えます。回復魔法も得意です」

「じゃあ俺のサポートを頼む」

「ほかの都市か超級冒険者2名が駆け付けてきてくれるらしいのですが」

「そうなのか。ステータスは?」

「2010と1990です。二人とも長距離魔法が使えます」

「その二人がいればさらにあのモンスターに勝てる見込みが見えてきた」

サルトはうれしそうな様子でこう言った。あのモンスターがけが人を追いかけてきたり、山を破壊したりする可能性がある。未開拓領域の強力なモンスターは一度目を覚ますと攻撃を続ける性質を持つ。都市まで下りてくるものも珍しいがあるのだ。この機会に倒しておくのが無難だ。幸い今特に重傷の人は飛竜でゆっくり運んでいるが、全員ではない。まだけが人がふぇりる山を下りる途中なのだ。このモンスターはスピードが速すぎるのでフェリル山を猛スピードで下り、そして追いつくだろう。第一はここで食い止めなければならない。第2に倒せるのならば倒さなければならない。そのために加勢に着た冒険者たちというのもあるが。サルト一人では難しい相手なのだ。

「ルバ、回復魔法と補助魔法をみんなにかけられるか?」

「全員にですか、私の魔力では可能ですが、効果時間が短縮されてしまいます」

「じゃあ回復魔法はヒットポイントが少なくなった人にかけてくれ。補助魔法ってのは攻撃魔法や防御魔法に効果があるのか?」

「攻撃や防御、状態異常無効などあります」

「それは呪いにも効くのか?」

「呪いのレベルによります。上位の呪いだと私の補助魔法では無効にすることはできません。どんな呪いなんですか?」

「ヒットポイントが回復しにくくなる呪いだ。あのモンスターのものだと思う」

「試してみます」

「生命の光よ、わが魂に答えかのものの状態異常を消し飛ばせ」

ルバは詠唱を始めたやがてサルトの周りの呪いが消されていくのをサルトは感じた。

「おお、たぶん呪いは解けたぞ。念のため回復魔法をかけてみてくれ」

「ヒール」

ルバはヒールをかけた。するとサルトのヒットポイントが前よりも回復する速度が上がった。しかしすべては解けなかったようだ。

「これだけ解ければヒールの効果がより前に戻った。これで戦いやすくなったはずだ。ありがとな」

「じゃあサルトさん攻撃を続けてください。私は補助魔法をかけますから」

ルバは補助魔法の詠唱をした。高度な魔法ほど詠唱をしなければならない」

「魔術の心に問う。自らの心に率直にあり、攻撃、防御の魔法の効果を高めよ」

ルバの詠唱とともにサルトやサトらに補助魔法がかけられた。それも強力なものだ。ルバは援護し、サルトとサトとトールは攻撃、しかしサルト以外は遠距離から。エリは回復魔法を使う。

「エリは全員に回復魔法をかけられるのか?」

「はい。ですが私のとりえはこれくらいですから。でも頑張ります。必ずお役に立って見せます」

「おう。絶対にあのモンスターを倒そうぜ。でも無力化すればいいんだけどな」

「じゃあいくぜ」

「はい!」

サルトは1番にモンスターに突っ込んでいった。

「うおおおおおおおお!」

「ギイイイイイインッ!」

サルトはモンスターに渾身の一撃を加えた。攻撃は補助魔法をかけられる前よりも効いたようだ。モンスターは少しひるんだ。しかしモンスターは回復しようとする。

「させるか!フレイムインパクト!」

サトは、モンスターに攻撃を加えた。しかしモンスターは少しひるむくらいで大きなダメージはあてられなかった。直後、モンスターの回復をさせないようにとトールは攻撃魔法を使った。

「ライトニングスラッシュ!」

「ドオオオオオオン!」

しかしモンスターは少しひるむだけで大きなダメージ与えられなかった。だがサルトが必殺技を使った。

「強力な補助魔法をかけてもらったんだ。今回は回復するよりもはるかに強力な魔法を使えるだろう。バーンスラッシュ!」

「ドオオオオオン。ドオオオオオオン。ドオオオオオオン」

「ドオオオオオオン。ドオオオオオオン。ドオオオオオオン」

6連撃がモンスターにさく裂した。モンスターはおお大きく怯み、横に倒れた。しばらくの間、動けない様だった。すぐには回復できないくらいのダメージを食らい、動けない様だ。すかさずトールは攻撃魔法、サトは炎攻撃魔法フレイムインパクト、ルバはちょっとした攻撃魔法を全力でモンスターに与えた。

「グポオオオオオオン!」

モンスターは大ダメージを与えられすぐには動けなかった。しかしモンスターは最後の力を振り絞り、サトやエリのいる場所に突進していった。サトとエリはすぐには動けなかったようだ。モンスターの攻撃は二人に直撃すると思われたが、ルバとサルトが攻撃を受け止めた。

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫か?」

「なんとかあなたたちのおかげです。ありがとうございました」

モンスターの突進はルバとサルトの試みによって阻止された。サトは防御力が低く、エリはステータスが低いのでたった一度の攻撃でも大ダメージを受けるかもしれなかったのと、さっきの突進はモンスターの渾身の一撃だったので危なかったのだが、二人のおかげで直撃を免れた。モンスターはそのまま倒れた。

「グオオン」

「グ…」

強力なモンスターはこれで最後かと思われたが、呪いが発動し、立ち上がった。

「なんだと…」

「立っている。もう終わりじゃないのか!?」

モンスターはエリに向かってゆっくりと歩いた。しかしサルトとルバが遮る。

「バーンスラッシュ!」

「ドオオオオオオン。ドオオオオオオン。ドオオオオオオン」

「ドオオオオオオン。ドオオオオオオン。ドオオオオオオン」

サルトの6連撃を食らいモンスターは倒れた。

「なんとか倒れたか」

5人の冒険者は大喜び。皆は強敵を打ち破ることができた。智也は遠くから見守っていたので危険な状況に陥ることはなかった。サルトとルバはモンスターに最後のとどめを刺した。倒してからしばらくすると2人の冒険者が飛竜に乗ってやってきた。しかし、モンスターを倒した後だった。相変わらず黒い渦は残り続けているが調査隊が来るのを待つのが彼らの最後の仕事だ。感傷に浸っているところエリが立ち上がった。

「わたし、今回はダメだと思いましたよ。わたし、あんな大きな魔物と戦ったことはなかったです。サルトさんやルバさんがいたおかげで何とか倒すことができたんですよ。二人はもっと自信を持っていいんですよ。私だったら大喜びしちゃいます」

トールは倒したモンスターの魔石をどさくさに紛れて撮ろうとしたが智也がトールの真後ろで見張っていた。

「トールさんだめですよ独り占めしちゃ」

「うおおお!びっくりした!とりませんよ絶対」

智也は怪しそうにトールを見つめた。

「ごめんなさい。ここまで強いモンスターの魔石って売ったらとんでもない値段するんだろうなって考えて、独り占めしたら大儲けできるとおもってたんです」

「やっぱりな。俺はそういうのも分かるよ。でも独り占めはいけないと思う。おれはこういう性格だから」

「智也さんって自分に厳しいんですね。正義感に従って動くタイプなんですね。俺と真反対のタイプですよ」

「俺の性格ってどう思います?トールさん?」

トールは一生懸命何秒間か悩んだ後、智也の顔をじっと見つめた。

「正義感にあふれててすごいと思います。俺は決してそんなことできません。きっとあなたを好いてくれる人が見つかりますよ」

トールがそういうと智也の顔が赤くなった。決して自分を好いてくれる人なんていないと思っているのだが、心の中でそういう人がいてほしいと智也は思っていて、もしやと考えているのだ。

「そんなわけあるか!俺を好いてくれる人なんて。友達までで本当に好いてくれる人なんて。俺なんてダメ人間だし」

「自分をそんなに卑下しないでください。あなたはきっとみんなに好かれるタイプですよ。俺も少しは好きですよ」

「嘘をつかないでいいですよ。俺なんて…」

トールは精一杯息を吸い込んではいた。

「嘘じゃないですよ」

しばらくすると調査隊が到着した。これは黒い渦の調査と未開拓領域の聞き込み調査だ。こうして智也たちはふぇりる山の危機を乗り越えたのであった。



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