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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第7章 魅惑の宿

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良く眠れましたか?

魔導具ない場合、サキュバスは厄介な相手です。

翌朝、デポさんがトライアングルを鳴らすと澄んだ音がした。

弟の目覚めに自分だけが立ち会う。

魔音を聞くと覚醒し眠れなくなるからだ。


ほぼ朝まで起きていたので、疲れが残るが、これで明日の夜までは眠れない。

眠気がとんで覚醒しないのは、元は拷問器具だからだろう。


弟が飛び起きる。

「朝ですよ〜デグさん〜。」

「良い夢見れましたか〜」

デポさんがからかう様に話す。

弟はまわりを見渡し、残念なそれでいて、安心した様な表情を見せる。


(デポさま、空腹が癒えたので、またしばらく眠ります。)

どこからかミケの甘い声がした。

サキュバスの黒幕が微かに微笑む。


「今朝は滋養ある料理をペティが作ったので、お二人ともどうぞ〜」

ペティとは、あのハーフエルフの少年の名前だろう。

階段を降りて食堂に向かうと、食欲をそそる匂いがする。


「おう、デグ目が覚めたか?」

ロバート声をかけてきた。

食堂は混み合い始めていたがミケとレイカの姿はない。


「レイカはアヤメを訪ねている。ミケは珍しく寝坊をしてるみたいだ。」

女性陣が居ない理由を説明してくれた。

隣にいたデポさんが慌ただしく厨房に戻る。

テーブルにつくと、香料の効いたスープを簡易ゴーレムが運んできた。


「サキュバスはどうだった?」

「実在の聖女(れいか)には出来ない様な事を色々試しただろうし、望んた事は全て叶えてくれただろう?」

弟は赤くなり狼狽している。


「心の奥の願望を見つけて、叶えてくれる。サキュバスはそういう魔物だ。」

ロバートは今日は酔ってなく、口調に揶揄する調子もない。


「この店でなく、次があったら適当に楽しんだ後に殺すんだ。サキュバスは夢の中でしか殺せない。」

サキュバスは想い人の姿をしているはずだ。

声も姿も同じで迫ってくるはず。

その想い人を殺せるのか?


「殺せなければ、死ぬのは自分だ。」

何故か、ロバートは弟ではなく、自分の方を真っ直ぐに見る。

(ロバートの勘は何故か当たるのよ。) 

ミケの言葉が不意に思い出された。


「[出禁のデグ]の武勇伝は終わった?」

ミケが階段を降りてくる。

ミケも弟の二つ名を知っていた。

「レイカだったんでしょ?あの娘に聞かせたり、ましてや試したりしたら駄目よデグ。」

唖然とする弟の代わりにロバートが答える。

「夢と現実の区別はついてるから大丈夫だそうだ。試すのは後日に改めるってよ。」


「あらあら〜レイカちゃんは、どんな、いやらしい事されちゃうんですか〜。」

「お姉さんにだけ、そっと教えてくれませんか〜。」

エプロン姿のデポさんがミケさん分のスープを運んできて口を挟む。


「だから、お姉さんは無理があるだろ。」

ロバートが混ぜっ返した。

私の黒歴史がまた1ページ。

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