一行目
タイトル参照。
「この店には魔物が出る」
ロバートさんが、きつい冗談を言ったので、レイカ様は酷く困惑されていた。
店主のデポさんの笑い具合いからして、魔族の店主にかこつけた、この店特有の冗談なのだろう。
兄者がそう言っていた。
通常武器で戦えるなら、まだ何とかなるが通常武器無効だとお手上げだ。
戦斧をなるべく近くに置き、部屋で休もうとした。
扉がノックされる。
鍵は空いているというと、扉が音もなく開き、レイカ様がすべり込んできた。
「デグさん、あの、魔物が怖くて。」
消え入る様な声で話す。
ただ驚いたのはその姿だ。
身に着けているのは薄い夜着だけ。
月明かりに透けてその白い肢体がはっきりと見える。
下着も着けていない。
「レイカさま」
近くにあった上掛けを手に取りつつ慌てて立ち上がる。
レイカ様はそんな自分を見て、その時初めて自身の姿に気づいた様子だ。
顔を紅く染めながら呟く。
「ごめんなさい、デグさん。こんな、はしたない姿で押しかけて。」
上掛けを手渡し、室内に一つしかない椅子を勧める。
しかし、レイカ様は椅子ではなくベッドに腰を下ろした。
「デグさん、少し寒いです。」
「隣に来て貰えませんか?」
レイカ様が上目遣いで、こちらを覗く様にしながら囁く。
寒いだろうか?
自分は心臓が早鐘の様に打ち、汗がふきだしている。
「ダメですか?」
駄目なはずがない。
ただ座ってしまったら、タガが外れてしまう。
レイカ様は聖女なのだ。
自分が逡巡を見せると、
「私は聖女なんかじゃありません。」
レイカ様が抱きついてきた。
柔らかく、暖かい、やさしい香りがする。
「デグ、貴方になら……」
自分はレイカに、それ以上言わせず抱きしめかえした。
最初の投稿予定の後半は読み返して、ざっくり削りました。
やさしく指で弄った……。とか、抱きしめかえしたあとの描写は……。
うん、まずい。
ミッドナイトヘ行けと言われない様に気をつけないと(笑)
私の黒歴史がまた1ページ。




