口裏合わせ
ジグ視点☆冷夏視点です。
この世界は多神教ですが、人間世界では至高神と大地母神が2大宗派で、至高神はさらに聖神派と聖王国派に分かれます。
村に帰りついて、先ずは叔母の簡易神殿を訪ねた。
少女の神官服、靴など一式を調えてからでないと、叔父には会わせられない。
叔母は最初デグが少女を襲ったのかと勘違いし、ちょっとした騒ぎになったが、少女の弁護で事なきを得た。
転移魔法の件や魔導具なども叔父には伏せておきたい。
叔母には道に迷った歩き巫女を保護したとだけ説明をした。
村では珍しい聖神教派の信徒である叔父に転生者疑惑をかけられては少女に迷惑がかかる。
[正義と保守]を司る至高神の一派である聖神教。
邪神とされる[進化と自由]の妖魔神の手先として、彼らは転生者を忌み嫌っている。
同じ至高神を奉じる一派でも、聖王国派は初代勇者を召喚した事からも転生者には寛容なのだが。
この国、ジナリー王国の至高神は聖神教派だ。聖王国とはあまり仲が良くない。
ただ、ここを治める伯爵様は大地母神を保護し、自身も深く信仰している。
残念ながら神と宗教はこの小さな村に争いしかもたらさない。
「レイカ殿。貴女は旅の途中道に迷い、大地母神の泉に辿り着いた歩き巫女でよろしいですか?」
「お任せします。ジグさん」
少女が、また何か呟いたが良く聞こえなかった。
「デグもそれでよいよな?」
弟は黙って頷いた。
さて、叔父に会いにゆこう。
村の水源、大地母神の泉の調査報告を済ませないと。
☆☆☆
「う~ん。だんだん設定が真実から離れてゆく。転生ってやはり無理なことなんだろうな〜」
『生きる上で真実と違う事など、転生などしなくとも、山程あるだろう?』
「まぁそうだけどさ。」
「でも、転生者を嫌う宗教があるなんて意外だよ。そんなに転生者って多いの?」
『いや、多くない。それに聖神派は本音では転生者を歓迎している。』
「え?」
『正確には転生者が持つ技術や知識をだがな。』
『そして、それらを独占する為に転生者を捕らえ、拷問し、全てを吐き出させた後に処刑している。』
『転生者を嫌うとしているのは方便だな。』
「む、むぅ〜私には技術も知識もないよ。」
『だとすれば、捕まったら拷問の末、ハズレだと処刑される。気をつける事だ。』
「は、ハズレね……。う~ん、どうすれば良い?」
『手始めに神官の身分を手に入れる事だな。後ろ楯が有れば無理はしづらい』
「むぅ……」
『(死神への借りを返す前に死なれては困るからな)』
勇者の剣の契約で、血筋の条件があるのは、異世界からの召喚者であった初代勇者が魔王討伐後に使い捨てられない為の保険の一つとして設定されました。
勇者の剣に魔力付与したのは仲間の1人でしたので。
また男性のみ契約出来る(勇者になれる)のは女性より男性の方が短期間で作れる子供が多いので条件に入れたと考えられています。
一夫多妻が条件ですが、この世界は一夫多妻制が認められています。
私の黒歴史がまた1ページ。